サイゾーウーマンコラム闇金王国はどのように終わったか コラム 私は元闇金おばさん 「闇金王国」はどのように最期を迎えたか? 金に執着した社長の情けない姿 2023/03/04 16:00 るり子(ライター) 私は元闇金おばさん 写真ACより こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。今回は前回に引き続き、かつて私が働いていたの“闇金”の終焉についてお話していきたいと思います。 「金を返さないまま死んだら成仏できないぞ」病院での取り立てで社長逮捕……闇金王国がついに崩壊へ! こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。 2010年、出資法と貸金業法が改正されたことにより、行政や警察による取り締まりも厳しくなりまし...サイゾーウーマン2023.02.04 警察の強制捜査の翌日、事務所に到着すると鍵が開いていたので恐る恐る中を覗くと、社長の奥さんが事務所内で待ち受けていました。お目にかかるのは、2年前の社員旅行以来で、あまり話したこともないため緊張します。 「おはようございます。今回は、ご迷惑をおかけして、ごめんなさいね」 「いえ、私は大丈夫です。奥様は、大丈夫ですか?」 「しっかりしないといけないときだから、なんとかね」 奥様も眠れなかったのでしょう。憔悴しながらも、悟られぬよう気丈に振る舞う姿は痛々しく、どこか寂し気に見えました。昨日は、社長の自宅にも家宅捜索が入り、それが夕方遅くまでかかってしまったために、これから留置される警察署まで差し入れに行くそうです。しばらくは接見禁止が続く見込みですが、弁護士と一緒に行くため、なにかあれば聞いてもらえるとのことでした。 「お客さんからいただく金利の計算は、どうしましょうか? 法定金利内に収めないと、また事件にされちゃうかもしれませんよ」 「そうね。問題にならないように正しくやってください」 「不渡が出たらどうします? 私たちにできることは、なにもないんですけど」 「そこは聞いてくるわね。いろいろとご心労かけて、本当にごめんなさい」 その結果、できないことは放置しておいて構わないと指示されましたが、まるで想定外のことが起こります。 社員の横領が発覚。顧客が次々と手のひら返し――疲弊したるり子を助けたのは? 事件を起こした社員2人が担当する顧客の期日が到来し、再貸付の依頼をいただくと、月に3割もの利息を支払わせていたことが露見したのです。正規の貸付(といっても違法な金利ですが)であれば、100万円をひと月間借りた時の金利は6分で、金額でいうと6万円程度の話になります。 ところが2人は、その5倍――月に30万もの金利を取っていました。つまりは一回の貸付で、1件あたり24万円も着服していたことになり、その悪質さは極まりないものといえるでしょう。2人の管理する債権は、合計で2000万円ほど。すべての顧客に設定金利を確認して回ると、ほとんどの客から月3割の利息を徴収しており、さらには一部の客と半使い(貸金を折半して使うこと)して踏み倒している事実も明らかとなって、その悪質さに愕然としました。 お客さんは疑いすぎるほどなのに、身内は完全に信用してしまう。そんなところが社長らしいといえばそれまでですが、昔からの社員に退職された寂しさにつけ込まれた感も否めず、どこか残念な気がします。 さらに悲しいかな、当社の立件報道を見て、態度を変えてくるお客さんも現れました。高利を支払ってきたことを理由に返済を拒む客や、過去の取り立てについて被害届を出すと脅してくる人が続出して、その対応に苦慮したのです。 「あんたらがウチにやったことが、いま事件になったら大変だろ? あの時の金、全部返せよ」 「これ以上請求するなら、ウチからも刑事告訴するよ」 いままで丁寧な口調で電話をかけてきていた人が、突然に脅迫的な態度で接してくるので困惑しましたが、ウチの会社が人の不幸に付け込む仕事をしてきた結果で、何も言い返すことはできません。仕方なく、退職された佐藤さんに電話をかけて相談すると、以前と変わらず親身に話を聞いてくれました。本音を明かせば不安でたまらず、とてもつらい気持ちでいたので、話を聞いてほしかったのです。 「さっきニュースで見て、連絡を入れようと思っていました。いろいろと大変でしょう?」 「はい。いま愛子さんと2人きりなので、もうどうしたらいいかわからなくて」 「そうでしょうね。こちらの仕事もあるので、空いている時間だけになってしまいますけど、できるだけ協力しますよ」 次のページ 「あいつら、ふざけやがって。本当に舐めているな」追い込まれた社長が取った必死の行動 123次のページ 関連記事 「金を返さないまま死んだら成仏できないぞ」病院での取り立てで社長逮捕……闇金王国がついに崩壊へ!玄関に並べられた「夫婦の遺骨」――闇金社員が走って逃げ出した“恐怖の現場”「強盗でもなんでもやって金を作る」倒産寸前の社長が、ついに一線を越えた! 闇金社員が見た衝撃の結末ゴミ屋敷の2階は水槽だらけ、異形の魚が悠々と泳ぎ――闇金社員が怖くなった“初現場”闇金社員、初の現場は「ゴミ屋敷」! コバエが弁当にたかる臭い部屋……仏壇の位牌が消えていた