私は元闇金おばさん

闇金社員、初の現場は「ゴミ屋敷」! コバエが弁当にたかる臭い部屋……仏壇の位牌が消えていた

2022/10/01 16:00
るり子(ライター)
写真ACより

 こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。

 いまから30年近く前の話になりますが、私の勤めていた金融会社は20年以上の業歴を誇る老舗で、“金融問屋”の立場にもありました。業歴浅く、資金力のない金融業者などを相手に、その債権を担保に資金を貸し付けていたのです。その利率は、年36.5%。通常のお客さんより安く設定されているのは同業者だからで、有事の際は取り立てを代行して、自分たちで回収する目論見も透けて見えます。

 その貸し付けていた金融業者の一つが「〇×インターナショナル」。名前からして、そこそこ大きな会社だと思っていたのですが、その実態は社長と社員1人の極小企業と聞いて驚いたことを覚えています。

 ある日、「〇×インターナショナル」の客から担保に預かっていた小切手が不渡となり、それに合わせて「〇×インターナショナル」とも連絡が取れなくなったことがありました。その残高は、200万円。社長からは、担保として預かっている小切手は、すべて現金化して強制回収しろと指示されました。

 「〇×インターナショナル」の客の立場になれば、見知らぬ金融業者から、突然小切手分の金額を回収されることになり、急な資金繰りを余儀なくされます。当座決済のリミットは、翌日の午後3時。不渡を避けるには、小切手を所持する当社が、金融機関に「決済をしなくてよい」と連絡するか、「〇×インターナショナル」の客がお金を作って決済するほかありません。


「振出人(手形を発行した人=「〇×インターナショナル」の客)の会社と自宅がどうなっているか、確認してこい」

 ホワイトボードに書かれた代表者の自宅住所は、私の家から徒歩3分くらいのところでした。それを社長に話すと、いい機会だから現場を見てこいと進言されます。業務終了まで、あと1時間ほどありますが直帰を許され、イケメン営業マンの佐藤さんと元プロボクサーである藤原さんのコンビと一緒に、社用車で債務者の自宅に向かうことになりました。

潜入・ゴミ屋敷