コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験、憧れの第1志望に連続不合格――「入試の日に初めて行った」1月校に入学した親子の話
2023/01/14 16:00
「先生がね、『今まではママの言う通りにしていたかもしれないけれど、もう中学生なんだから、自分の行く学校くらい、自分で決めよう。自分の運命は自分で選択するんだよ』って。それで、K学園の入試の時、雰囲気がすごく良かったことを思い出して、ちょっと遠いけど、K学園がいいなって思った」
咲子さんは、その言葉を聞き、「ああ、やっぱり紗良は、ちゃんと自分で行きたい学校を選べたんだ」と感慨深い気持ちになったそうだ。
「もちろん、紗良はS学園のことも気に入っていたとは思うのですが、今となっては逆に、不合格でよかったのかなと思います。あのままS学園に行っていたら、紗良はずっと『私の娘』として振る舞わなくてはならなかったかもしれません。でもK学園へは、“まっさらな紗良”で入学できたので、逆に伸び伸びとできているようにも思うんです。実際、紗良は今、すごく楽しそうです」
中学受験は、良くも悪くも、子どもが親に“洗脳”されがちな世界なので、咲子さんのようなケースも珍しいことではない。
親としての注意事項は、第1志望校はあるにせよ、併願校もしっかりと見極めた上で、受験のラインナップを組むこと。そして、入学校への最終判断は、子どもに任せるということだ。筆者は、さまざまなご家庭の「中学受験物語」を聞いているが、そのほうがのちの学校生活はうまくいくように感じる。
12歳の子どもは、きちんと五感を使って、自分に合っている学校はどこかを判断する力を備えている――筆者は常々そう思っている。
最終更新:2023/01/14 16:00