コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験、「最後の合不合」がトレンド入り――最終模試の結果で“第1志望を捨てた”母が「たられば」に苦しむワケ
2022/12/24 16:00
「あの時、私はどうすればよかったんですかね? 同じ“玉砕”ならば、圭斗が目指したY学園を受けさせてあげればよかったのか、K学園に志望校を変更したのは仕方のないことだったのか。それとも、最初から受験なんかさせずに、サッカーを好きなだけやらせてあげればよかったのか……」
そう言って、友梨奈さんは目を伏せた。
人生は一度切り。「たられば」はないとわかってはいるものの、「もしも、あの時……」と思ってしまうのは人間のサガかもしれない。
「今はC学園に学費だけを納めている状態です。ムダとは知りつつ、これで学費も納めなかったら、退学の道しかないですよね。そうなると公立中学に転校することになります。私はそれでもいいと思っているんですが、今度こそ、圭斗の決断に委ねようと思っているんです。圭斗は私が決めたことをすべて受け入れてきたことで、こうなってしまったのかな……って。ならば、圭斗が自分から『こうしたい』と言ってくれるまで、辛抱強く待つしかないと思っています。なるべくならば、それが遠からぬ未来であることを祈るだけです」
中学受験の時期は、思春期とも微妙にかぶっているので、親としては子どもの扱い方に迷うこともある。親の良かれが災いすることもあり得るだろう。
友梨奈さんの話を聞いているうちに、「親」という漢字の意味は「木の上に立って見る」という言葉を思い出した。親という仕事は本当に難しい。
最終更新:2022/12/24 16:00