「強盗でもなんでもやって金を作る」倒産寸前の社長が、ついに一線を越えた! 闇金社員が見た衝撃の結末
この日、部長が会社に持って帰ってきたのは、30万円の現金と額面80万円の差し替え手形、それに奥さんの債権書類一式です。朝から出かけて、随分とお疲れ気味に見えたため、社長に報告を終えて席に着いたところで甘めのコーヒーを入れて差し上げました。
「ありがとう。北西さん、きっと飛ぶから、決済確認を至急で取るよう銀行に伝えといてくれるかな」
決済確認とは、取り立てに回した手形が決済されたか銀行に確認してもらうことで、お願いすると支払期日の午後3時半過ぎくらいまでには情報を入れてくれます。いただいた指示を、忘れないうちに愛子さんと共有して、その日に備えました。
2日後の夕方、銀行における用事を済ませて事務所に戻ると、従業員が社長室に集まってテレビを見ていました。何か大きな事件があったのかと思い、帰社のあいさつがてら画面をのぞき込むと、都内の繁華街にある交差点で現金輸送車が襲撃されたというニュースが、事件現場から生中継される形で放送されています。
犯人は現金輸送車を襲撃したそうですが、その場で被害車両を運転する警備員に取り押さえられて、すでに逮捕されているとのことでした。
「逮捕された男は、金に困ってやったと話しています。警察の発表によると、犯人は〇×区の印刷業、北西……」
テレビから聞こえるリポーターの声に聞き耳を立てていると、さすがに驚いた様子の部長が社長に言いました。
「確かに、強盗でもなんでもやって金を作ると話してはいたんですが、まさか本当にやるとは思いませんでした。どうしましょうか?」
「あのおっさん、やるなあ。この前も正座していたし、おそらくは根が真面目なヤツなんだろう。警察が入っているから、占有するのは難しいかもしれないけど、状況を確認してこい」