「強盗でもなんでもやって金を作る」倒産寸前の社長が、ついに一線を越えた! 闇金社員が見た衝撃の結末
こんにちは、元闇金事務員、自称「元闇金おばさん」のるり子です。今回も、かつて闇金で働いていた頃の印象深いお話をしていこうと思います。
「ごめんください」
午前8時半。誰もいない事務所で朝の掃除をしていると、60歳くらいに見える痩せた薄毛の男性が、ビジネスバッグを片手に怯えた様子で入ってきました。
「朝早くから、すみません。私、北西印刷の北西と申します。伊東部長様は、いらっしゃいますでしょうか」
「伊東はまだですが、お約束でしょうか?」
「いえ、今日決済があるんですけど、その件でご相談に参りました」
「そうでしたか。もうまもなくだと思いますので、どうぞ、こちらでお待ちください」
今日、当座に回している北西印刷の手形は、100万円。昨日、手形を銀行に持ち込んで、取り立てに回したのは私なので、その状況は把握しています。応接室に案内して、お茶を入れてから部屋に戻ると、北西社長が床に正座していて驚きました。
「ちょっと、なにをされているんですか!? イスにお座りください」
「いえ、大丈夫です。そんな立場にないものですから、部長様が来られるまで、このままでいさせてください」
座れ座らないの押し問答を繰り返していると、先に出社された金田社長が、なにごとかと応接室に顔を出してくれました。説明するまでもなく、すぐに状況を飲み込んだ様子で、まるで相手にすることなく社長室に戻っていきます。
「少々お待ちください」
後を追うように応接室を出て、お茶を入れて差しあげると、少し楽しげな様子の社長が言いました。
「あの客、まだ正座しているのか?」
「はい。今日決済があって、その件で相談に来たと仰っていました」
「そりゃあ、そうだろう。それ以外、ないよなあ」
ほどなくして部長が出社されたので、手短に状況を伝えると、そのまま社長室に入られました。まもなくして出てきた部長が、そのまま応接室に入ると同時に、北西社長の悲痛な声が聞こえてきます。
「伊東さん、申し訳ない。今回だけ、助けてください! お願いします!」
応接室の扉を開けると、北西社長は床に額をつけて、部長に哀願していました。
「で、いくら用意できているの?」
「30万です。本当にすみません」
「なんだ、半分も用意できてないのか。ウチはさ、依頼返却(一度取り立てに回した手形を所持人が銀行から返還してもらうこと)かけない主義なんだよね」
「そこをなんとか、お願いします! でないと、ウチ倒産しちゃいますよ。すぐに作りますから、3日だけ時間ください」