『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』利用料月5,000円の赤字フリースクールと補助金問題「そこにいていいんだよ ~もじゃくん夫婦と不登校の子どもたち~」

2022/11/08 12:20
石徹白未亜(ライター)

『ザ・ノンフィクション』行政の補助金をめぐる本末転倒

 かけはしは結局、行政からの補助金がもらえなかったようだ。私自身もライター以外の仕事で、行政の補助金があれば助かるという場面があり、いろいろと調べてみたことがあった。単純に、「社会的に意義のあることをしていて、日本の未来を担う子どもたちが元気になっているんです。だから支援してください」と訴えたところで、行政の補助金などもらえないと想像がつく。

 「行政=お役所」ゆえに、民間の企業や一般顧客を相手にするときよりもさまざまなルールや決まりごとがあり、それを滞りなく通過する必要がある。

 例えば行政からの補助金を得たい場合、NPO法人や一般社団法人などの法人格があることが望まれ、ただの個人であったり、法人格のない有志の集まりでは厳しいことが多い。ただ、かけはしのホームページを見たところ「一般社団法人」とあり、この点はクリアしているようだ。

 NPO法人や一般社団法人は、設立だけでなく、運営にも結構な手間や金がかかる。補助金をもらうために金がかかったり、本来の事業(かけはしであれば、不登校の子どもや親の支援)に注力する時間が減っては本末転倒ではないかと腹立たしい気持ちもあるが、一方で行政の「どこの馬の骨かもわからない団体に補助金(税金)を渡せない」という気持ちもわかるので悩ましい。

 なお、かけはしのある神奈川県のホームページを見ると、「神奈川県フリースペース等事業費補助金 令和4年度実施事業のお知らせ」があり、ひきこもり・不登校などで悩んでいる本人、家族を支援している民間団体のうち、県の補助金が対象となっている団体が紹介されている。


 翌年の令和5年度には、かけはしも補助金がもらえているだろうか。

石徹白未亜(ライター)

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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いとしろ堂

最終更新:2022/11/08 12:20
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