“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験生の娘が、髪を抜いて食べていた――「産後1カ月で職場復帰」スーパーウーマンの母が猛省するワケ

2022/09/24 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

中学受験生の娘を抜毛症に追い込んだのは私

「琴音には、『受験はしたいならしていい。公立中学に行くのもありだし、受験校も自分で決めていい。とにかく、これからは琴音のペースを大切にしよう』って話をしました」

 結局、琴音ちゃんは自分で個別塾を選んだのだが、これが吉と出た。

 琴音ちゃんは担当の講師の先生とウマが合ったらしく、先生の出身校の女子校に入学するという目標を持ち、残り4カ月と迫った受験本番を意識しながら、猛勉強中だそうだ。

 恵理さんが「私は猛省中です」と言いながら、今の心境を語ってくれた。

「以前の塾も決して悪い塾ではありません。受験はある意味、競争なので、厳しい叱咤激励が必要な場面もあるとは思うんです。でも、琴音には合わなかった。今の塾は室長の『褒めて伸ばす』という指導方針があるせいか、担当の先生も本当に丁寧に琴音の話を聞いてくれて、それを決して否定しないみたいなんです。私はそんな先生たちの話を聞いて、『私は琴音の話に、真剣に耳を傾けたことがあっただろうか?』『はなから聞こうとしていなかった』と自問自答しています」


 恵理さんは、「琴音を抜毛症に追い込んだのは、受験でもなく、塾でもなく、私だったと思っている」と言う。

「もう、今は何よりも、琴音の健康が一番。琴音が生きやすい環境に身を置いてくれるようにサポートするのみだと決意しているところです」

 現在、琴音ちゃんは突然やる気スイッチが入ったかのように、生き生きと塾に通うようになっているそうだ。そして、喜ばしいことに、今は髪を抜いたり食べたりすることも格段に少なくなっているという。



鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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最終更新:2022/09/24 16:00
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