オンナ万引きGメン日誌

夏の風物詩「アウトドア系」万引きの実態とは? 万引きGメンが見たディスカウントストアでの犯行

2022/09/17 16:00
澄江(保安員)
夏の風物詩「アウトドア系」万引きの実態とは? 万引きGメンが見たディスカウントストアでの犯行
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です。

 今夏、新型コロナウイルスの感染が爆発していたものの、夏休みということもあって各商店に客足が戻ってきており、それに合わせて万引き被害も増えていました。流行しているアウトドアキャンプやバーベキューに絡む商品の被害が目立ち、万引きが世間の流行に敏感な犯罪であることを実感しています。

 つい先日も、みんなでキャンプに行くからと、カートを駆使して500mlのビールケースを5箱も盗み出した50代の男を捕まえました。

「仲間から預かった金を、自分の小遣いにしたかった」

 集金用と思しき、仲間の苗字の隣に〇×式のチェック項目が書かれた封筒から、バツの悪い顔で3万円超の現金を取り出した男は、被害届を出すからと代金の受領を店長に拒絶され、懇願むなしく警察に引き渡されました。横領の罪はつかないものの、仲間を裏切った代償は高くつき、そのまま逮捕となった男は、10日ほど留置施設で過ごしています。


 今回は、夏の風物詩ともいえるアウトドア系万引きの実態について、お話ししたいと思います。

2日間で7件の事案が発生、万引き犯に狙われたディスカウントストア

 当日の現場は、東京郊外に位置する総合ディスカウントストアA。さまざまな商品をもれなく扱う地域で人気の巨大店舗です。他社の保安を常駐させている店舗ですが、導入時間内に高額の万引き被害が相次いだそうで、入れ替え業者を選定するため5日間のスポット契約をいただきました。

 この日の勤務は、午前10時から午後6時まで。中日にあたる3日目の勤務を任され、入店のあいさつをするべく従業員通用口から総合事務所に向かうと、このために本社から来られたと思しき防犯部長を名乗る40歳くらいの男性に対応されます。どことなくアンガールズの田中卓志さんに似ておられる、背が高く線の細い男性です。

「昨日、一昨日と入ってもらったけど、思った以上に(万引き者が)いて驚きましたよ。今日もよろしくお願いしますね」
「そうでしたか。どのくらい(万引きした人が)挙がりましたか?」
「初日は4件、昨日は3件でした。みんな1万円を超えていたので、警察手続きも大変で、まだ終わっていないんです」

 2日間で7件もの事案を発生させているとすれば、所轄署の地域課や刑事課を、ひどく忙しくさせていることでしょう。たくさん挙がる現場で、保安員を連続導入してしまうと、結果によっては所轄警察署との関係が悪化することにもなりかねないので、注意が必要なのです。


「それは大変ですね。所轄の皆さん、怒っていらっしゃるでしょう?」
「そうなんですよ。少しは考えてやってくれと嫌な顔をされました。あとで書類を持ってくるので、差し入れでもしてフォローするつもりです。他社さんにも定期的に入ってもらっていますが、こんなことは初めてですよ」

 所轄警察署の状況はさておき、2日連続で“祭り”になっていると聞いた以上、一番長いキャリアを持つ私が坊主を出すわけにはいきません。ただキャリアがあるだけで、結果を出せない無能な職員だとは、絶対に思われたくないのです。自分の気持ちを楽にするには、万引き犯を捕捉するほかなく、早速に店内の巡回を始めました。

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