コラム
“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第600回】
性暴力、女性蔑視発言がなくならない“男社会”の問題を掘り下げ続ける「週刊女性」
2022/05/10 21:00
こうした実情を語る松崎の言葉は重い。しかも特筆すべきは、松崎が“許せない”と強調するのが、告発された監督個人個人だけでなく、その上に存在する“組織”だったことだ。
「日本の映画会社、テレビ、制作会社などが、“ハラスメントを許さない宣言”を出さないことです。これは本当にありえない」
そう憤る松崎だが、おっしゃる通り! 確かに映画監督有志が声明を出したり、「映像業界における性加害・性暴力をなくす会」を立ち上げるなどの動きはあるが、しかし、それに映画会社やテレビ局は入っていない。
特にテレビがこの問題を無視するかのように報じないのは、こうした映画・ドラマ界の体質を改め防止しようとしないばかりか、放置、容認さえしてきた、つまり自分たちも加害の一端を担っているからだ。問題が拡大すれば、いずれ自分たちにも火の粉が降りかかる。それを十分に自覚しているからだろう。そして臭いものにはふたをして、時がたつのを待ち、あとは我関せず。
松崎が言うように、こうした映画会社、テレビ局の体質を変えなければ、性暴力の問題も解決しない。しかし、こうした事実、本当のことを口にすれば、日本の映画やドラマからパージされる可能性はかなり高いのではないか。そんなリスクも負いながら告発する松崎の言葉は、ますます重いと思う。