“中学受験”に見る親と子の姿

コロナ禍の中学受験、「無責任」なパパをホテルに自主隔離したら……息子に思わぬ影響が!

2022/02/13 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

中学受験、やる気のない息子が突然変わった理由

 しかし、やる気が上向かないのは当然かもしれない。昨年、今年と新型コロナウイルスに翻弄され続けている受験生たちだ。モチベーションを維持することが極めて難しい受験期間であったはずだ。

「朝陽の代は、いろんな学校行事がなくなってしまい、修学旅行も中止です。塾がオンラインだった期間も長かったですし、C学園にも、この2年、1回も見学に行けていません。

 ほかの学校に見学に行きたくとも、このご時世です。結局、どの学校もネットで学校情報を集めるくらいしかできなかったんです。朝陽も、この勉強が将来にどう繋がっていくのかをイメージしきれなかったように思います」

 朝陽くんにスイッチが入ったのは、年明けだったそうだ。突然、自主的に机に向かうようになり、美幸さんから見ても、集中しているのがわかったという。

 あとでわかったことらしいが、そのきっかけとなったことは2つ。1つはC学園の生徒たちがSNSで発信している「応援メッセージ」。これを繰り返し、見ているうちに「やっぱり、どうしてもここに入りたい!」と思ったそうだ。


 もう1つが父親との会話。朝陽くんはビジネスホテル滞在中の父親と毎夜、LINE電話で顔を見ながら話をしていたらしい。ある時は、理解しきれていないと感じた問題の解き方を教えてもらい、ある時は、本当に他愛もない会話で盛り上がっていたそうだ。

 美幸さんにとっては、それは意外なできごとだったという。

「主人は口下手な上に、そもそも仕事人間。今まで一つ屋根の下に暮らしていても、朝陽と一緒に遊ぶこともなかったですし、ましてや息子と深い話をするなんてことはなかったんです」

中学受験を考えたらまず読む本 2022年版