オンナ万引きGメン日誌

福袋に盗品詰め込んだ万引き老女、「お正月だから妹とおいしいものを食べたくて」警察官も呆れ

2022/01/08 16:00
澄江(保安員)

福袋に次々と盗んだ商品を詰め込む女

 開店まもなく、タバコを吸い終えて店に入る老女の後に続くと、多くの人が集まる福袋の特設売場で足を止めました。人混みをかきわけ、手提げの福袋(5,000円)をふたつ手にした老女は、食品売場に向かって歩いていきます。

 歩きながら開口部を留めたホチキスを外したので、犯行に至ることを確信して注視すれば、柵に入った本マグロとカズノコ、それに箱詰めのいくらを手にした老女は、それらを堂々と福袋の中に隠して売り場を離れました。人混みを上手に利用して、なんらの挙動も出さずに素早く隠す手口は、かなり鮮やかで熟練した技術のようなものが感じられます。

(払うつもり、まるでないわね)

 店内が混雑しているので、見失わないよう慎重に追尾すると、次は年賀状の陳列スタンド前で足を止めました。商品を選ぶことなく複数のハガキをつまみ取って、それも迷うことなく袋の中に隠した老女が、レジに立ち寄らないまま店の外に出たところで声をかけます。

「お店の保安です。それ、持っていったらダメですよ。お金払ってもらえますか?」
「え? お金は、ないよ」
「それは、困りましたね。ちょっと事務所まで来てもらっていいですか?」
「はい、はい。ごめん、ごめん」


 すべての言葉が不明瞭なので発言を読み取るべく口元に目をやると、ほとんどの歯が欠損しており、その顔を見てかつてテレビに出ていた“クシャおじさん”のことを思い出しました。

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