コラム
[再掲]仁科友里「女のための有名人深読み週報」

マツコ・デラックスの引退説に考える、テレビ視聴者に“毒舌”が通用しなくなった現況

2022/01/27 21:00
仁科友里(ライター)

 マツコは「今、わからん。女子アナをどう扱っていいか」と、『かりそめ天国』で話していたが、扱いがわからなければ当たり障りなく接するしかなく、けれど、それではマツコの個性が生きない。そして、今後も傷つきやすい視聴者が増えることが予想されるとなると、マツコのやりにくい状態は続くと思われる。

 フェミニズムの台頭も、毒舌タレントには向かい風になるのかもしれない。世間に「性差別を許さない」という空気が生まれ、それ自体は望ましいことだが、「性差別とは何か」を誰もが明言できるほど、フェミニズムは根付いていないと私は感じている。そういう時代に、女子アナや女性タレントに毒舌を吐くと、発言内容を精査せず「女性を悪く言うことは、女性差別だ」と感じる人も出てくるだろう。

 時代の変化を止めることはできないが、マツコが見られなくなるのはつまらない。今のようなスタイルでなくても、マツコにとってベストな形で、コアなファン向けに活動してほしいと思うのは私だけではないはずだ。

※2020年10月15日初出の記事に追記、編集を加えています。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2022/01/27 21:00
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