コラム
オンナ万引きGメン日誌
ベテラン万引きGメンが負傷! 人気芸人似の凶悪犯と命がけの対決【歳末警戒SP】
2021/12/11 16:00
どことなくEXITのりんたろー。さんに似ている20代後半くらいに見える体格のいい男性が、左肩にかけたリュックの開口部を全開にしたままの状態で店の中に入っていったのです。
見逃せない気持ちになって追尾すれば、酒売場に直行した男性は、ワインやシャンパンが並ぶ棚の前で足を止めます。偏見的な見方ではございますが、発泡酒や缶チューハイといったお酒が似合う男性で、とても高級酒を嗜む人には見えません。売場にそぐわぬ男性の雰囲気に目を引き付けられていると、化粧箱に入ったシャンパンを次々と手に取り、抱えるようにして箱を重ねていきました。
最終的に、合計4本のシャンパンを抱えて売場を離れた男は、人気のない通路を探すように店内を歩いていきます。
(そこで、入れるのね)
ペット用品売場の通路にある太い柱の脇で足を止め、抱えるシャンパンを一本ずつ優しく床に置いた男は、リュックも降ろして、その場にしゃがんで商品を隠しました。来た時とは違って、しっかりと両肩を通してリュックを背負い、足早に立ち去っていきます。きっちりと詰めたために楕円形のリュックが真四角に変形してしまい、とても不自然な状態にみえますが、気に留める人は私以外に誰もいません。精算する素振りすら見せないまま、いわば堂々と店の外に出た男の背後から近づいた私は、腰元に垂れるショルダーハーネスのストラップを掴むと同時に声をかけました。
「あの、お客様……」