オンナ万引きGメン日誌

「お父さん、助けて!」顔認証システムで捕まった万引き老女を警察が逮捕しない理由とは?

2021/10/09 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 こんにちは、保安員の澄江です。

 先日、JR東日本が顔認証カメラに刑務所から出た出所者と仮釈放者の一部を情報登録して、駅構内などで検知する防犯対策を講じていることが明らかになりました。必要に応じて職務質問や所持品検査を行うとしており、刑期を終えて出所したにもかかわらず、出所者の行動を監視、制限をするような状況に批判の声が出ています。報道によると、検知の対象は、過去にJR東日本の駅構内などで重大事件を起こして服役した者や指名手配中の容疑者のほか、駅構内を徘徊するなどの行動不審者とのこと。主要な駅や変電所に設置される8,350台(稼働台数は非公表)に及ぶネットワーク化されたカメラで情報照合され、データが一致すれば警備員などが目視で確認した後、警察に通報し、必要に応じて手荷物検査をする流れになっています。

 JRの駅構内で重大犯罪を起こした出所者については、加害者の処遇や出所を被害者に知らせる「被害者等通知制度」により情報提供を受けており、事件当時の報道に基づいて氏名と罪名を含めた形で報道された顔写真データを登録。痴漢や窃盗などの加害者は対象外で、登録者はいないとされていますが、運用の実態はセキュリティー上の理由で秘匿されているのでわかりません。

 東京五輪中のテロ対策を理由に顔認証システムの導入を発表したJR東日本は、その設置をHPなどで公表しています。しかし、商店やアミューズメント施設などにおいては、設置していること自体を秘匿しながら運用しているところも珍しくなく、その運用実態に疑問を感じることも少なくありません。一度顔認証機器に登録されてしまえば、たとえ声をかけられなくても、いつでも対応できる措置をとられることに違いなく、行くたびに居心地の悪い思いをすることにもなるでしょう。しかしながら、少し変わった動きをしたというだけで警戒登録している商店もあり、人のことは言えない立場にございますが、その偏見ぶりに驚かされることも珍しくありません。データ共有も簡易で、その扱いを間違えれば人権が侵害される事態を招きかねず、我が国においても法整備が必要な時期が到来しているのではないでしょうか。

 今回は、顔認証システムを利用した店内防犯の実態について、お話ししたいと思います。


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