コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

皇族の“特権”を失った元・プリンセスはハードモード! 「使用人」として生きた皇女の忌まわしい事件

2021/11/20 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江 『小右記』によると、検非違使(=警察官)の一人だった平時通(たいらのときみち)なる男性が、元プリンセス殺害事件発生から約3カ月後、お坊さんの格好で、その悪しき素性を欺いて見せていた隆範(りゅうはん)という盗賊一味の男を逮捕しました。

 隆範はいくらリンチまがいの尋問を受けても、共犯者の名前をなかなか明かさなかったのですが、ある時、荒くれ者の上流貴族として有名だった藤原道雅の指図で、元・プリンセスを集団で襲い、殺害したと言い出したのです。藤原道雅は、当時の最高権力者である藤原道長にもつながる血筋の上流貴族でした。

 ところが、その直後、盗賊一味の親玉を名乗る男性が自首してきたらしく、藤原道雅の冤罪は晴れたのでした。しかしこの主犯の盗賊の親玉の名前や詳細、その後、どういう処罰を受けたかの記載はないのです。

――それまで自首しなかったのに? 絶対に怪しいですよね。ウソっぽい。 

堀江 いちおう、警察=検非違使の立場上、書類上だけでも殺人事件が解決したといいたかっただけではないでしょうか。一時は犯人とされた道雅ですが、無罪放免されています。しかし、その後はなぜか中流貴族がやるような仕事しか任せてもらえなくなりました。これは降格処分ですね。

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