サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー『ザ・ノン』歌舞伎町の薬局 芸能 『ザ・ノンフィクション』レビュー, 『ザ・ノンフィクション』さよなら、おめでとう、が軽く言える関係が持つ癒やし「『おかえり』の声が聞きたくて ~歌舞伎町 真夜中の処方箋~」 2021/11/08 18:40 石徹白未亜(ライター) 『ザ・ノンフィクション』レビュー さよなら、おめでとう、が軽く言える関係の良さ ニュクス薬局を訪れる客の中には、中沢が薬を出すこと=中沢は自分の症状を把握している、という安心感から、智花のように深刻な悩みを相談する人もいるが、一方で気安いおしゃべり、世間話をしに立ち寄るケースもあるようだ。今回は後者に注目したい。 番組を見ていて印象的だったのが、歌舞伎町から去るアヤが、最後にニュクス薬局を訪ねるくだりだ。アヤは男と2年暮らしたものの、金を抜き取られていたようで、最後は自分が街から出ていく状況だったわけだが、最後に中沢という「さよなら」を告げる人がいてよかったなと思う。 中沢の誕生日に、若い女性2人がネームプレートつきのケーキを差し入れていたのもいいシーンだった。中沢もうれしかったと思うが、女性客も、誕生日だからケーキを買って持っていったら喜ぶだろう、せっかくだからケーキにネームプレートを乗せようと話しているときは楽しかったと思う。そう思い合える人がいる人生は豊かだ。 家族やウマがあう友達など、ディープになった人間関係はそのディープさゆえに、相手に期待してしまうことが増え、それがストレスになったり、相手を嫌いになってしまうことすらある。 たとえば、「引っ越すんです」と馴染みの人から聞いたときに「なんで教えてくれなかったの」とならずに「お元気で」と見送れる、ライトな、ちょっとした人間関係は想像以上に人を救っている。特に心が疲れていたり、弱っているときほど、ライトな人間関係のほんのりとした温かさは沁みると思う。 次のページ SNSでは埋まらない人間関係 前のページ123次のページ Yahoo 福田智弘 深夜薬局 歌舞伎町26時、いつもの薬剤師がここにいます Book 関連記事 『ザ・ノンフィクション』かき揚げでケンカする介護のリアル「愛する人、見送る私 ~看護師僧侶と3つの家族~」『ザ・ノンフィクション』男親の正論と女親の意地「奇跡の夏に輝いて ~ピュアにダンス 待寺家の18年~」『ザ・ノンフィクション』若年性アルツハイマーの父親をケアする高3の息子「ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~」『ザ・ノンフィクション』息子べったりだった母が「もうママは面倒を見れない」と変わるまで「母と息子のやさしいごはん ~親子の大切な居場所~」『ザ・ノンフィクション』YouTubeと小説で稼ごうとする68歳、浮世離れした存在「ちょっと心配な家族がおりまして~母と私と姉夫婦の話~」