サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー『ザ・ノン』かき揚げでケンカになるリアル 芸能 『ザ・ノンフィクション』レビュー 『ザ・ノンフィクション』かき揚げでケンカする介護のリアル「愛する人、見送る私 ~看護師僧侶と3つの家族~」 2021/11/02 18:54 石徹白未亜(ライター) 『ザ・ノンフィクション』レビュー 老後の自分のため、今写真を撮る 番組の最後、大久保夫妻が歩んだ歴史が多くの写真や動画で紹介された数分間は、涙腺が刺激されてしまった。『ザ・ノンフィクション』のテーマソング「サンサーラ」ではなく、明治安田生命のCMソングである小田和正の楽曲が脳内で再生される映像だった。 写真があると、あのときあんなことがあったと思い出すきっかけになる。1枚の写真で10年以上前のことを、その時の日差しや空気の様子まで鮮明に思い出したりもする。というより、写真がないと思い出を結構忘れてしまうのだ。 中年以降になると、きっかけがないとなかなか写真を撮る機会もないが、もっと写真を残したいと思った。これは老後の自分があんなこともあったな、と笑顔で思い出せるように、というのもあるが、むしろ、写真がないと老後の自分が、自分の人生を空白のように感じてしまうかもしれず、そんな絶望を防ぎたい、という思いのほうが強い。 かき揚げでケンカになる介護のリアル 大久保家は美しい「見送り」「見送られ」だったが、一方で、美津江、恵美子母娘の口ゲンカ生活には非常にリアルさを感じた。 あるときの母娘のケンカは「かき揚げ」がきっかけだった。恵美子の姉(美津江にとっては娘)が作ったかき揚げがバラバラと崩れてしまう出来だったようで、美津江は、それに対し何度もしつこく、くどくどと不満を言い続ける。 一方の恵美子も「やってくれた好意を受け取ればいい」と反発し、そして美津江もさらに意固地となって悪循環に陥っていた。かき揚げでケンカになるという些細さが、非常にリアルだ。 次のページ 理学療法士など「家に来る第三者」の存在 前のページ1234次のページ Yahoo 死にゆく人の心に寄りそう 医療と宗教の間のケア / 玉置 妙憂 著 関連記事 『ザ・ノンフィクション』男親の正論と女親の意地「奇跡の夏に輝いて ~ピュアにダンス 待寺家の18年~」『ザ・ノンフィクション』若年性アルツハイマーの父親をケアする高3の息子「ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~」『ザ・ノンフィクション』息子べったりだった母が「もうママは面倒を見れない」と変わるまで「母と息子のやさしいごはん ~親子の大切な居場所~」『ザ・ノンフィクション』YouTubeと小説で稼ごうとする68歳、浮世離れした存在「ちょっと心配な家族がおりまして~母と私と姉夫婦の話~」『ザ・ノンフィクション』終の棲家ではないホスピス「人生の終わりの過ごし方 ~『ダメ人間マエダ』の終活~ 後編」