サイゾーウーマンカルチャーマンガ倉田真由美が50歳で挑む新境地 カルチャー 『だめんず・うぉ~か~』倉田真由美が50歳で挑む新境地! 初の長編ミステリー&電子コミック『凶母』の制作秘話 2021/10/26 11:15 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) 倉田真由美インタビュー 撮影=尾藤能暢 ダメ男と、ダメ男にばかりハマってしまう女性の姿がリアルに描かれた恋愛エッセイ漫画『だめんず・うぉ~か~』の著者で、昨今はコメンテーターとしても活躍する、くらたまこと倉田真由美氏が、初の長編ミステリー&電子コミック『凶母(まがはは)~小金井首なし殺人事件 16年目の真相~』(ウーコミ!)を、10月26日より各電子書店にて配信する。 日本屈指の霊能者と見せかけ、実は凄腕の催眠術師・東郷高峰の元に、16年前に母親を惨殺された美女が相談に訪れたことから物語は始まるのだが、ほんわかとしたくらたまタッチの絵と、得体のしれない気味の悪さがまじり合い、独特な世界観を形成。読者を引きつけて離さない、スリリングな展開となっている。 完全オリジナルストーリーで長編ミステリーという新境地を切り開いた倉田氏に、制作の裏側や本作にかける意気込みを聞いた。 <『凶母』第1話を全ページ無料公開中!> 『凶母(まがはは)~小金井首なし殺人事件 16年目の真相~』(ウーコミ!) ――『凶母』は完全オリジナルストーリーで、初の長編ミステリー、初の電子コミックと、倉田さんのキャリアにとっても大きな転機となる作品だと思いますが、本作を執筆しようと思ったきっかけから教えてください。 倉田 紙で描いた4コマが電子コミックになったことはあるんですが、ペンタブ(デジタルで漫画を書くペンタブレット)で一から漫画を描いて発表するのは、今回が初めて。そういう意味では、わたしにとって新しい挑戦です。だって、30年くらい紙でやってきたものを全部捨てて、デジタルに完全移行したんですから。スクリーントーンも全部捨てたし、たくさんあったペンのストックもすべて人にあげちゃったし、紙の原稿も子どものオモチャになりました(笑)。 ――2000年から13年続いた『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)連載終了後、40代後半はあまり漫画を描かない時期もあったそうですね。 倉田 ほかのジャンルにチャレンジしたこともあったんですが、あんまりうまくいかなくて、漫画を描くこと自体、嫌になってしまって、文章の方に行こうかなって思った時期があるんです。とはいえ、そんなに強みがあるわけではないし、せっかく今までやってきたことを全部なしにしちゃうのももったいないな、と思っていました。 それと、コメンテーターとか、ほかの仕事でなんとかなっちゃっていたというのも大きいですね。でも、「漫画家の倉田さんです」とか紹介されながら、なんにも描いてないから、これはいかんなと。このままだと、「元・漫画家の倉田さん」になっちゃう。それで、50代はもう一度、漫画を頑張ろうと思って、2年半前にペンタブの練習を始めたんです。 ――最初はペンタブ教室に通われていたとお伺いしました。 倉田 20代の子にまじって、47歳がひとり(笑)。何度か通ったんですが、何か描きたいことがあるわけじゃないから、全然身につかないんですよ。まったく使い物にならなくてあきらめかけていたところに、7歳年下の女友達がペンタブ買って「これから漫画家目指す」って言いだして、2人で「ペンタブ会」を作ったんです。それで、ペンタブを使って仕事をしているイラストレーターのママ友に教えてもらうようになったら、みるみる上達して。やっぱり、仲間ってすごいんですよ。身に付き方の速度も深さもぜんぜん違うの。それで、最初に書いたのが『凶母』の1話なんです。試行錯誤して描いているから、実はレイヤーの数が多かったり、いま見ると無駄なところ、ダメなところがいろいろあるんだけど、「紙より向いてるかもしれない」って思ったんです。 ――紙とデジタルの違いって、具体的にどんなところでしょうか? 倉田 わたし、基本的に雑だから、紙でもペンタブでもザーって線を描いちゃうの。ザッ、ザーって。紙の場合だと、直しをする場合にホワイトかけないといけないし、かければかけるほど汚くなっちゃう。それがペンタブだと、何度でも直せる。あと、左右の反転とか縮小とか、紙だと絶対できないことがペンタブだとできるので、初めから絵がうまい人よりも、わたしのように基本があんまりなっていない、絵が得意ではない人には向いているかもしれないなと思いました。紙で描くのはしんどいなっていうのがずっとあったけど、ペンタブだとそんなにしんどくないんです。 次のページ この先も漫画を描き続けるなら、縮小再生産は嫌だった 123次のページ その他の作品を読む