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いや、寿司は!? 【小僧寿し】が猛プッシュする「かつ丼」食べてみたら、「かつや」レベルの味だった!

2024/08/15 16:00
阿左美賢治(ライター)
小僧寿し外観(写真:サイゾーウーマン)

 一時期は全国約2,300店舗以上に拡大するも、現在では150店舗と10分の1以下に激減した寿司のテイクアウトチェーン「小僧寿し」。そんな同チェーンでは、現在メイン商品となる寿司以外にも、意外な商品が“推し”となっているようで……!? かつて隆盛を誇ったチェーンの現在を、グルメライターが店舗を訪れ確かめてきました。

目次

外食産業日本一だった【小僧寿し】
「いや、寿司は!?」と驚き! 小僧寿しの現在
かつ丼(646円)を実食
1個150円の唐揚げの味は?
かつ丼は今後もリピートしたい!

【小僧寿し】、1979年に外食産業日本一

 株式会社小僧寿しが運営する寿司の持ち帰りチェーン大手「小僧寿し」。1964年に創業した「スーパー寿司・鮨桝」を発祥とする同チェーンは、1970年に全国展開を始め、資金難などを理由に社内が混乱したものの、株式会社小僧寿し本部を設立して再起を図ると、79年には年商531億円で外食産業日本一になるほどの隆盛を誇りました。

 絶頂期である87年には全国に約2,300店舗と拡大しましたが、その後回転寿司チェーンやテイクアウト寿司チェーンの増加に加え、スーパーなどの小売店が寿司を扱うようになり、競争が激化することで徐々に勢いが失速。

 住宅街に固執した立地戦略も失敗し、現在では全国150店舗と、全盛期の1割以下の店舗数となっています。


「いや、寿司は!?」と驚き! 小僧寿しの現在

 小僧寿しの現状を確かめるべく、グルメライターが店舗を訪れたところ、意外な商品が“推し”となっている事実を発見しました。

「小僧寿し」の店舗外観。垂れ幕やパネルでは、寿司ではなく唐揚げやかつ丼、天丼の宣伝がなされていました(写真:サイゾーウーマン)

 その“推し”メニューとは、「小僧寿し」の姉妹ブランドである「元祖からあげの中津家(以下、中津家)」「かつてん」の商品である、唐揚げと丼もの。

 調べてみると、現在「小僧寿し」の多くの店舗では、これらのブランドのどちらか、あるいは両方の商品が購入可能となっているようです。

店内にも、かつ丼やから揚げの特売日についてのパネルが並んでいました。いや、寿司は!?(写真:サイゾーウーマン)

 今回訪れた店舗では、「中津家」と「かつてん」の両方の商品が購入可能となっており、店舗の外には垂れ幕やパネルで両ブランドが商品を猛プッシュしていました。

 店内にも、毎月10日が「かつてん」、毎月20日が「中津家」のメイン商品特売日であるというパネルが貼られており、一方で寿司に関するPRはほぼ見当たらないという状況。


 当初は回転寿司やスーパーなどの競合と比較するため、寿司を購入しようと思っていた筆者でしたが、俄然これらの商品に興味が出てきたため、両ブランドの商品を購入し、実食することにしたのです。

【小僧寿し】かつ丼(646円)を実食

今回購入した「かつ丼」と唐揚げ3種類(写真:サイゾーウーマン)

 今回は、「かつてん」の商品から「かつ丼」(646円、税込み/以下同)と、「中津家」の商品から「マルキン醤油からあげ」(159円)「赤からあげ」「焦がしガーリック醤油からあげ」(それぞれ178円)の3種類を購入。

 まずは「かつてん」の「かつ丼」から食べてみることにしました。

かつ丼の全体像(写真:サイゾーウーマン)

 まずかつ煮の部分は、最近はやりの「かつや」などのサクサク系と、昔ながらのシミシミ系の中間で、サクサク感が残る部分がありつつも、しっかりと味が沁みている部分があり、個人的にはかなり好みでした。

 下に敷かれたご飯は、こちらもタレがしっかりと沁みており、味はおいしいものの、そのせいかサラサラとした食感になっており、箸でまとまりを拾うのが少し難しくなっています。

 丼から直接かき込むような食べ方をする分には問題ないでしょうが、粘り気の強い米を使うなど、この部分は改善してほしいと思いました。

かつ煮部分のアップ。卵が絡んだかつが食欲をそそります(写真:サイゾーウーマン)
かつの下のご飯は、タレがかなりしみています。ただ、そのせいでさらさらとした食感になっており、箸でちょっと掴みにくい部分がありました(写真:サイゾーウーマン)
漬物は皿に小分けにされているのが好感を抱きました(写真:サイゾーウーマン)
かつは恐らく結着肉だと思いますが、サクサク感が残りながら半熟の卵が絡まって抜群の味わい(写真:サイゾーウーマン)

 とはいえ、かつとご飯の相性もバッチリで、全体のクオリティとしてはかなりアリではないでしょうか。

 また、作りたてを食べられるというメリットも考えると、スーパーやコンビニよりも優位性があるでしょうし、「かつや」などの専門店と肩を並べると言えるものだと思います。

【小僧寿し】1個150円の唐揚げの味は?

 続いて、「中津家」の唐揚げ3種を食べてみました。まず、これらについて感じたのは、「1つ150円以上って、かなり強気じゃない?」ということ。

 確かに一般的な唐揚げに比べると大きめではあるものの、「『業務スーパー』で2kg1000円ちょいの鶏モモと、100円ぐらいの片栗粉を買って作れば、いっぱい食べられるのにな……」と思ってしまいました。

唐揚げ3種類のアップ(写真:サイゾーウーマン)

 さっそく「マルキン醤油からあげ」を食べてみると、味付けはかなりスタンダードながら、サクサクを通り越してザクザクとなっている衣は非常に筆者の好みとマッチしていて好印象。

 しかし、全体的に衣の割合が多く、値段を考えるとかなり残念に思えてしまったのがマイナスポイントでした。

「マルキン醤油からあげ」のアップ(写真:サイゾーウーマン)
サクサク感の強い衣はかなり好みでしたが、肉が少な目なのが気になりました(写真:サイゾーウーマン)

 「赤からあげ」は、ニンニクが効いたホットソースであるスリラッチャソースがかかっており、激辛というほどではないものの、唐辛子の風味がかなりしっかりしており、こちらも好み。

 なお、「マルキン醤油からあげ」の件があったため、こちらも割って肉の量を確かめたところ、こちらは普通に満足できる肉の量となっていました。

赤からあげ」のアップ(写真:サイゾーウーマン)
こちらはわりと肉がしっかりありました(写真:サイゾーウーマン)

 「焦がしガーリックしょうゆからあげ」は、かなりこってりとしたニンニク醤油ソースが付いており、味わいは悪くないものの、塩気がかなり強め。

 これはそのまま食べるより、ご飯のおかずなどとして食べるのが合ってます。また、こちらも肉を割って確かめたところ、問題なし。ベースとなる唐揚げは一緒でしょうから、今回たまたま「マルキン醤油からあげ」だけ肉の量が少なかったのだけかもしれません。

「焦がしガーリックしょうゆからあげ」のアップ(写真:サイゾーウーマン)
こちらも肉はかなりありましたが、味がかなり濃いのでおかず向けと言えるかもしれません(写真:サイゾーウーマン)

 総評としては、味は十分にいいものの、コスパという面ではあまりよくないというのが率直な感想。リピートはないかもしれません。

【小僧寿し】かつ丼は今後もリピートしたい!

 意外な“推し”を発見したため、メイン商品の寿司を差し置いて試してしまった「小僧寿し」。

 個人的な評価としては、「かつてん」の「かつ丼」は今後もたびたび買いに行こうと思いますが、「中津家」の唐揚げに関しては、味には文句がないものの、値段を考えるとちょっとないかな、という感じでした。

 近頃、松屋でも姉妹ブランドである「マイカリー食堂」や「松のや」などのメニューが頼める店舗が増えていますが、「小僧寿し」もそうした流れに乗ったということなのかもしれません。

 かつて固執して失敗した立地戦略と異なり、柔軟にさまざまな商品を扱うようになった「小僧寿し」が、今後再び隆盛を取り戻せることを切に願っています。

阿左美賢治(ライター)

阿左美賢治(ライター)

食品スーパー「ヤオコー」を愛する埼玉在住グルメライター。中学3年生で体重100kgを超え、全盛期の30代前半には200kgを超えた業界最大級の巨漢でもある。コンビニやチェーン店のグルメにも詳しい。趣味はスイーツ作り。

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最終更新:2024/08/15 16:15
小僧寿しと回転寿司アトムボーイの時代、なつかしいぜ