オンナ万引きGメン日誌

野球カード欲しさに万引きを繰り返した児童……やるせない犯行動機とは?

2021/09/25 16:00
澄江(保安員)

「大事にしていたレアカード、パパが売っちゃったから……」

 泣きそうになりながらも素直に認めてくれたので、店内に放置された被害品や袋を回収しながら、なるべく目立たぬよう親子の体で店内を歩き、奥にある事務所まで連行します。今回の被害は、計11点、合計で1,100円ほどですが、少年の所持金は皆無で商品を買い取ることはできません。近くの小学校に通う小学3年生だと話しているものの、身分証明書を持っているわけもなく、自宅の正確な住所や電話番号さえ言えない状況にありました。

「野球選手のカード、集めているの?」
「うん」
「でも、盗ったらダメだよね。今日は、どうしちゃったのかな?」
「大事にしていたレアカード、パパが売っちゃったから……」

 くわしい事情はわかりませんが、大事にしていたカードを親に処分されてしまったそうで、それを取り返すべく犯行に及んでしまったようです。スマホで調べてみると、確かに売買がなされており、少年のいう選手のレアカードには1,000円以上の値段がついていました。

「キミさ、いままでにも、同じことしていたでしょ? おとといも、あそこの棚の下から、カードの袋が5枚も出てきているんだよね」
「ごめんなさい。もうしませんから、許してください。うあーん」

 体を丸めて、泣きながら許しを乞う少年の扱いに困った店長が、顔をしかめて言います。


「警察を呼ぶまでもない話だし、学校に連絡して引き取ってもらうかな」
「最近は、引き取りを拒否する学校が多いので、警察に引き渡したほうが早いと思いますけど」
「いや、近所の子だし、警察はかわいそうだよ。仕方ないから、一緒に家まで行って、お母さんに話してきてくれる? 買い取ってもらえたら、それでいいから」

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