オンナ万引きGメン日誌

「このまま、お前の葬式をやってやりたいくらいだよ」喪服姿の老女、“身も凍る万引きの言い訳”とは

2021/08/28 16:00
澄江(保安員)
写真ACより

 先日、東京・新宿駅近辺の店で食料品を万引きして女性店員に捕まり、警察に引き渡されて微罪処分とされた男が、釈放後に小田急線の電車内で包丁を振り回す通り魔事件がありました。供述によれば、警察官によるヤサカク(居住確認)後、逮捕者である女性店員に殺意を抱いて再度新宿に向かったものの、閉店していることに気付いて予定を変更。電車内の座席にいた女子大生をはじめ、無関係の乗客数名を切りつけ、持参の油を車内にまいて放火を試みるなど、一歩間違えば大惨事になりえた事件です。

 どうやら男は、生活苦から万引き常習者に成り下がっていたようで、報道によれば初めて捕まったことが凶行のトリガーになったとされています。私自身、新宿の現場に入ることもあるため、タイミングさえ合えば、いつ遭遇してもおかしくない状況にあったと言っても過言ではなく、まるで我がことのように恐怖を感じました。男を捕まえた女性店員の気持ちを察すれば、運よく被害に遭わなかったとはいえ身が凍るような思いをされたでしょうし、自分の行為が凶行につながったと責任を感じておられるかもしれません。万引き犯に対する声かけという正当な行為が、なんら落ち度のない無関係の人に対する凶行へ繋がったことが衝撃的で、とにかく許せない気持ちでいっぱいです。被害に遭われた皆様の心身が、一日も早く回復されるよう、心より祈念いたします。

 昨年に引き続き、今年のお盆休みも政府の一貫しない政策により出かけることができず、亡夫のお墓に花を供えたほかは、休みを返上して現場に出ました。今回は、お盆期間中に捕まえた罰当たりな万引き犯について、お話ししたいと思います。

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