サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビューホスピスは終の棲家ではない 芸能 『ザ・ノンフィクション』レビュー 『ザ・ノンフィクション』終の棲家ではないホスピス「人生の終わりの過ごし方 ~『ダメ人間マエダ』の終活~ 後編」 2021/09/21 17:30 石徹白未亜(ライター) 『ザ・ノンフィクション』レビュー 死ぬところまで撮ってほしい、と話していたマエダの心境の変化 マエダは余命宣告を受け、『ザ・ノンフィクション』のカメラが入った当初は「死ぬところまで撮ってほしい」と番組スタッフに話していた。しかし実際は、カメラが最後にマエダの姿を撮影したのはホスピスから退院した2021年4月28日で、そこから亡くなる5月14日までの映像はなかった。 カメラが入らなかった理由は番組内では伝えられなかったが、マエダ側が撮ってほしくなかったのかもしれないし、それは誰もが想像できる心境の変化のように思う。 その2カ月以上前、2月の時点で、マエダはプロレス観戦の帰り道に「痛い、痛い」と脚の痛みに悲鳴を上げながら、電信柱にもたれ、休み休み歩いていた。背中を丸めて脚をかばうように、よろめいて歩く姿は痛々しかったが、ようやくたどりついたコンビニの店先で痛み止めを飲み、そこで番組スタッフとこのようなやりとりをしていた。 スタッフ「(目の前に痛がっている人がいたら)できることがないかなと思っちゃう」 マエダ「ないんだもん、ないからこっちも『何かして』って言わないし、放っといてほしい、放っとけないんだろうけど」 スタッフの気持ちも、マエダの気持ちもわかる。マエダは母親の本音を知りたくないとも話した。本音を知ると、それに対しマエダ自身が気を使い、母親がそれにまた気を使い……という状態になってしまうからだ。マエダは気を使うタイプで、それゆえに他人の気持ちによく気がつくのだろう。 次のページ 遠くない日に自分を失ってしまう、という中で感情は…… 前のページ1234次のページ 楽天 大切な人が死ぬとき 〜私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた〜 関連記事 『ザ・ノンフィクション』44歳で始まった終活「人生の終わりの過ごし方 ~『ダメ人間マエダ』の終活~ 前編」『ザ・ノンフィクション』高卒の元キャバ嬢、昼職を目指す「夜の街に別れを告げて~人生を変えたい彼女たちは・・・~」『ザ・ノンフィクション』がんの病床でも明るく、暗くなるのが嫌な人「笑顔で生きよう~お母さんと僕の約束~」『ザ・ノンフィクション』女装一筋に見る、類まれなオタク人生「女装と家族と終活と ~キャンディさんの人生~」『ザ・ノンフィクション』 わだかまりのある親の最期に何を話す?「最期の願い ~父と息子と家族の2週間~」