『ザ・ノンフィクション』終の棲家ではないホスピス「人生の終わりの過ごし方 ~『ダメ人間マエダ』の終活~ 後編」
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月19日の放送は「人生の終わりの過ごし方 ~『ダメ人間マエダ』の終活~ 後編」。
あらすじ
44歳のパチスロライター、マエダは2020年2月に余命は3カ月から半年と宣告を受ける。過去に手術で取り除いたと思われた口腔がんが全身に転移してしまったためだ。
マエダは都心の裕福な家庭の一人息子として生まれ、幼稚園からエリート街道を歩むものの、同級生の中でただ一人大学に進学せず、ギャンブルにのめり込み、職を転々としてきた。現在はバツ2で、実家で母と2人で暮らす。
マエダがパチスロライターという天職に出会ったのは30代半ば。記事の執筆だけでなく、スーツ姿をトレードマークに番組やDVDにも出演し、仕事仲間とも良好な関係を築けていた中での突然の余命宣告となった。マエダは痛む体を抱え、大量の薬を飲む中でも酒もタバコもやめず、仕事仲間たちと一緒に食べたいものを食べ、行きたいところへ旅をする。
2021年の正月、マエダは「生前葬」としてパチスロ仲間たちとライブ動画配信を行う。飲み食いしながらで、最後まで明るい調子で番組は終わっていた。しかし番組スタッフの前では、大量の薬を飲みながら「今敗戦処理をしてるんだなあと思うと悲しくなっちゃう、悔しくなっちゃう。本当にがっかりです」と胸の内を漏らす。
マエダはホスピス候補を母と回り、医師から「ホスピスにずっといること自体は基本的には不可能です。一応原則として2カ月間というのがひとつの決まり」「(自分の)力が徐々に落ちてくる感覚がどこかで皆さん来ます」と説明を受ける。
2月1日、マエダは45歳の誕生日を大好きなプロレス観戦をして過ごすが、その帰り道、脚の激しい痛みに襲われ、電信柱に手をつき、それでもつらいのかしゃがみこんでいた。
4月28日、ホスピスを退院し自宅療養になったマエダは車いすで病院から出てきて、首からは医療用の麻薬を下げていた。そのまま母親と天ぷら屋に行くが、エレベーターの前の段差が上れず、母親の介助を受けていた。
映像でのマエダの姿はそれが最後になり、それからはマエダのTwitterのつぶやきが紹介された。マエダは「怖い」と率直な気持ちをつづり、最後のつぶやきは5月8日の「ありがとう」という一言だった。5月14日、マエダは45歳で亡くなる。
少年時代のアルバムで笑顔の写真が1枚しかなかったマエダだったが、居間には母親が撮った晩年の笑みを浮かべるマエダの写真が飾られており、マエダが記事を書いていたパチスロ雑誌はマエダの追悼特集を掲載していた。