料理研究家だって、料理はつらかった!? 賢人が明かす「飽きずにラクに」続けていくための台所術がすごい
高齢の親御さんの料理を作り続けてきた武蔵裕子さんは、大事なこととして食材を「やわらかくすること」を挙げている。これは、本当に大事なこと。高齢になる前から知っておいてほしい。歯が弱ってくるのは意外と早いから。
実際にシニア年代にさしかかる前に、食に関することで人間はどう弱っていくのか、どう対応ケアしていけばいいのかを予習すると、大きな「転ばぬ先の杖」になると思う。料理の賢人たちによる「私はこんなふうに体の変化に対応した」というエピソードの数々は、知っておいて損はない。
各氏の印象的な言葉を紹介していったらキリがない。石原洋子さんの和食の基本の味つけ、そして薄いときは「均等に増やす」という考え方には唸った。渡辺麻紀さんのすすめる「半調理の作りおき」は、同様のことを瀬尾さんもすすめており、私も同意見。食材を味つけせず加熱して保存しておくことだが、いろいろな料理にすぐ加えられて便利だし、なんならポン酢でもかけてそのまま食べられる。
管理栄養士でもある前田量子さんの具体的な「栄養バランスのいい食べ方」は大変分かりやすく具体的。栄養意識があり、「自分を整える」ことに興味のある人なら引き込まれると思う。前田さんは電子レンジの活用も提案されており、火を使いたくない派が増えている現在強く求められるものだと感じる。
料理において何を便利でラクと感じるかは人それぞれ。「これならできそう」「試してみたい!」 と思えるアドバイスが何かしらきっとあるはずだ。
白央篤司(はくおう・あつし)
フードライター。郷土料理やローカルフードを取材しつつ、 料理に苦手意識を持っている人やがんばりすぎる人に向けて、 より気軽に身近に楽しめるレシピや料理法を紹介。著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』など。