白央篤司の「食本書評」

買ってよかった『決定版 感動の冷凍術』! 自炊の手間が省ける、“凄テクニック”レシピをやってみた

2020/10/11 18:30
白央篤司

時短、カンタン、ヘルシー、がっつり……世のレシピ本もいろいろ。今注目したい食の本を、フードライター白央篤司が毎月1冊選んで、料理を実践しつつご紹介!

今月の1冊:『ぐぐっと時短&もっと絶品 決定版 感動の冷凍術』著者:西川剛史

宝島社 900円(税別)2020年6月19日発行 A4判

 買ってよかった。そしてこの内容で900円は……安いッ!

 自炊をある程度されている方であれば、「この食材、冷凍できるのかな、できないのかな?」と疑問に思ったことは一度ならずあると思う。同時に、この冷凍方法でいいのか、いつまでに食べ切ればいいか、解凍の仕方は適しているのか等々、冷凍に関する疑問を抱えているんじゃないだろうか。

 そして結局のところ、よくわからないまま“なんとなく”冷凍して、解凍して、「まあ……まだ大丈夫だろ」と食べている。私がまさにそうだった。冷凍に関する本はたくさんあれど、コンパクトにギュッと情報が詰まって、見やすく、値段も千円以下という理想的なものにようやく出会えた。

裏表紙でも冷凍テクニックを一部紹介

 著者の西川剛史さんは大学で食品栄養学を専攻、冷凍食品メーカーに就職して商品開発にたずさわったのち、独立して「冷凍生活アドバイザー」となった方。定期的にテレビも出演し、食品の冷凍利用に関するさまざまなテクニックを紹介されている。


 「冷凍の最大のメリットは、食材のおいしさや食感、栄養を『キープ』すること」とまず言い切る西川さん。そう、ここなんだよね。野菜や肉などを必要な分使い、その後に放置。「あ、そろそろ使わないと。でもきょう自炊はできない……」となって、とりあえず冷凍してしまう。鮮度の落ちた状態で冷凍しているのだから、解凍して再利用したときに「冷凍したものって、やっぱりおいしくないな」となってしまいがち。使わない分は買ってすぐ冷凍する、がおいしく食べるコツというのはひとつ真理なので、早めに習慣にするの本当におすすめ。

 冒頭で詳解される、冷凍・解凍する上での基本ルールと包み方や下処理のポイント。このあたり、ぜひ熟読してほしい。一般的な解凍法として6つものやり方があること、私も知らなかった。食材によっては、下処理を施す「グレージング」や「ブランチング」という冷凍方法が適していることも。13ページにある「冷凍前・後の約束」というコラムは耳が痛いけど、とても大事なのでぜひ覚えてほしい。

 実践的なノウハウを教える前に、「整理して冷凍」「食べる期限を決める」「冷凍庫の温度を上げないために」をまず考えてほしい、と掲げるところに私は著者の誠実さを思う。

ぐぐっと時短&もっと絶品! 決定版 感動の冷凍術