サイゾーウーマン芸能テレビドラマレビュー『ザ・ノン』オタク業界とやりがい搾取 芸能 『ザ・ノンフィクション』レビュー 『ザ・ノンフィクション』オタク業界とやりがい搾取の関係「ここでしか生きられない私~34歳 秋葉原メイド物語~」 2021/07/12 17:55 石徹白未亜(ライター) 『ザ・ノンフィクション』レビュー もう一人の共同経営者あずにゃんの不満 もう一人の共同経営者であるあずにゃんは、アイドル志願だったが乃木坂46やモーニング娘。のオーディションに通ることができず、アイドルとしての活路をHEART of HEARTsに見いだし、店の選抜アイドル5人組の1人でもある。16年の『TOKYO IDOL FESTIVAL』に出演した際の映像をうれしそうに番組スタッフに見せていた。 あずにゃんも店に対する責任感はとても強いように見え、優しい性格でスタッフを叱れないもちに対して不満があるようだ。ある日、深夜の配信中、もちが「寝落ち」してしまったのを見たあずにゃんは、もちに不満を伝える。そのような中で迎えたもちのメイドデビュー10周年イベントでは、花束を持った客たちがもちを訪ね、店は久々の賑わいを見せていた。 「頑張る」よりも冷静さが必要ではないか 番組を見ていて一番気になったのは、もちがスタッフの給料を優先するため自身の報酬を減らしていた、というくだりだ。コロナでもちの貯金は尽きたと伝えられており、番組中、夜になってようやくその日の食事としてもちが食べたのは、1本のサラダチキンバーだった。 もちがオーナーなら「店を守るために身銭を切る」は選択肢としてあるかもしれないが、番組を見る限り、もちの上には「会長」がいるとあり、店の実質的なオーナーはこの会長ではないかと思う。そうであるなら、もちが身銭を切ってまで従業員の雇用を守ったり、もちとあずにゃんがメイドカフェ営業後も朝方まで配信を続ける、という過酷な生活を続ける前にやることは「オーナーへの相談」ではないだろうか。 もちとあずにゃんが二人暮らすワンルームは、会社が借り上げていると伝えられていたので、義理があって言い出しにくいのか、すでに相談して芳しい回答が得られず、自分たちでやるしかないと諦めているのか。または、もちとあずにゃんが切り盛りしていくしかないような契約になっているのか。はたまた、会長としては店をたたんだり、休業してもいいと思っているのだが、もちとあずにゃんがそれを回避したいがために奮闘しているのだろうか。 もちもあずにゃんも「自分が頑張ればいい」の人のように見えた。しかし、明らかに二人とも、もうすでに頑張っている。もちの働き方を見て、そこまではやれないと話す10代スタッフたちは冷淡なのではなく冷静なだけであり、もちとあずにゃんの働き方こそが冷静さを欠いているように思う。 次のページ オタク業界とやりがい搾取 前のページ123次のページ Yahoo 超萌えメイド風衣装 ロリータ風 ハロウィン パーティー コスプレメイド服 黒白 ワンピース 喫茶風 少女風 かわいいメイド服 レーススカート 関連記事 『ザ・ノンフィクション』父からの仕送りにも「反省しない」、夢を追う27歳芸人「ボクがなりたいもの~芸人になる。と上京した娘~」『ザ・ノンフィクション』40年前は6万匹以上、100倍あった動物の殺処分『はぐれ者とはぐれ猫 ~小さな命を救う男の闘い~』『ザ・ノンフィクション』里親と娘、そして20年連絡のなかった実母からの手紙「ママにしてくれてありがとう~血のつながらない母娘の12年~」『ザ・ノンフィクション』子どもを捨てた母、捨てられた娘20年ぶりの再会「酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~ 後編」『ザ・ノンフィクション』茨城ディープ・ママたちに癒やされる「酒と涙と女たちの歌 ~塙山キャバレー物語~ 前編」