サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー案外暗い「婦人公論」ポジティブ論 カルチャー [女性誌レビュー]「婦人公論」2021年7月13日号 「婦人公論」の“ポジティブ論”は、結構暗い!? 東ちづるも池上季実子も……シニア世代の幅広い「幸せ」 2021/07/03 16:00 島本有紀子(ライター) 女性誌レビュー 「婦人公論」2021年7月13日号(中央公論新社) 「婦人公論」(中央公論新社)の7月13日号が発売になりました。今回の特集は「長生き時代、幸せのカギは『ポジティブ』にあり」です。「不安なときこそ『ポジティブに!』で乗り切る。そのコツを達人たちが伝授します」とのことで、内館牧子(72)、中尾ミエ(75)、東ちづる(61)、池上季実子(62)、渋沢栄一の孫である鮫島純子さん(98)など“ポジティブ・シニア”が多数登場する中身、さっそく詳しく見ていきましょう! <トピックス> ◎とことん悩めばいい。それが新しい扉への第一歩 東ちづる×池上季実子 ◎物忘れが増えても、幸福度は下がらない 増本康平 ◎“川柳”で笑い飛ばせ 意外と暗い東ちづる×池上季実子 特集「長生き時代、幸せのカギは『ポジティブ』にあり」のインタビュー企画が充実しています。朝5時から運動することを日課とし、「体を動かせばクヨクヨ気分も晴れやかに」と説く体育会系な中尾ミエから、「身近にある小さな幸せに感謝」し、ネガティブな気持ちが湧いたときは「世界の平和を祈ります」という達観系の鮫島純子さんまで、幅広いポジティブが網羅されている印象です。 中でも、東ちづる×池上季実子の対談「とことん悩めばいい。それが新しい扉への第一歩」は共感を呼びそう。明るいイメージの二人ですが、対談ではネガティブな一面を明かし、東は「『ポジティブ』という言葉に縛られすぎてしまうのは、ちょっと怖い気がするの。人間は振り子のように、前向きと後ろ向きの間で気持ちが揺れるもの」と提言。池上も「とことん悩んで、落ちていいと思うの。(中略)悩んだ先にポジティブはある」と語っています。酸いも甘いも知った「婦人公論」読者世代だからこその説得力があるポジティブの形だと感じました。 個人的にこれまでは、ポジティブという単語から思い浮かべていたのは「ラブ、ドリーム、ハピネス」を信条に掲げるEXILE系若人や、怪しい自己啓発セミナーにハマる系若人、SNSに「#出会いに感謝」と書き込みがちな自己肯定感あふれるパリピ若人などでした。そんな自分の視野の狭さに気づかせてくれた「婦人公論」との出会いに感謝です。 脳トレよりスマホいじりが効く!? 次は、読み物「老いへの偏見に縛られていませんか 物忘れが増えても、幸福度は下がらない」。神戸大学大学院准教授の増本康平氏が、老いに関するネガティブなイメージを「高齢者心理学」などの研究結果から、変えてくれます。 まず、年を取ると物忘れが激しくなるというイメージについて。増本氏は「最も記憶力がいいとされる20歳前後の若者でも、ごくあたりまえに物忘れをしている」と言い、「過度に不安を抱く必要もありません」とホッとさせてくれます。また脳トレは「あまり意味がないトレーニング」との見解を述べ、スマホをいじって外の情報に触れることのほうが「脳トレに励むより、よほど記憶力の衰えをカバーできると思います」としています。 一方、物忘れの域を超えた認知症については「平均寿命まで生きる女性の2人に1人は認知症になると考えられる」との研究結果もあると紹介し、認知症は努力が足りなかったからなるものではなく自然なものだと説明。「前向きに受け入れ、対処することが、幸福な老いにつながる」と締めくくっています。“ありのままに受け入れる=うまく諦める”というポジティブの形。勉強になります。 次のページ 川柳と鈴木保奈美の共通点 12次のページ 楽天 婦人公論 2021年 7/13号 [雑誌] 関連記事 熊谷真実に憧れる「マミラー」が浜松で発生中!? 「婦人公論」に見る、女“ひとり老後”の楽しい実態「大野担の86歳」「きよし推しの73歳」……「婦人公論」読者の”推し”は命と直結!?鈴木保奈美、女優なのに「PASMOで電車に乗った私」をアピール! 「婦人公論」連載でダダ漏れになった自意識家事は「女の仕事」でも「愛情」でもない! 「婦人公論」の主張が、読者から反感を買いそうなワケまるで戦時中の「ぜいたくは敵だ!」! 「婦人公論」90歳絵本作家のインタビューを疑うべき理由