「カルト」と呼ばれる新興宗教のサラブレッド――2世信者だった私が「洗脳解ける機会増えた」と感じるワケ
脱会した人間には、いろいろなパターンがあるが、先ほど少し触れた通り、私は「ある日、ハッと洗脳が解けたタイプ」ではなく、「小さい頃から(うさんくせえ……)と思っていたタイプ」なので、宗教系の思い出には「ひたすらにめんどくさかった」という感想しかない。信者の家に生まれ、一般の人とは多少育った環境が違っただけで、ある意味、一般の人と同じ感覚なのだ。
そのため、私には、まるで雷が落ちたかのように「自分は間違っていた!」と気づくという“ドラマ”は書けない。ただ、小さい頃からそれはそれはたくさんの信者を見てきたので、彼らがどんなことを考えているかというのはわかるし、宗教が人を救う瞬間も、ダメにする瞬間もいくつも見てきた。一切の“洗脳”がない分、ある種冷めた目線で、自身の2世体験について書いていきたい。
そんな私が、ここ最近よく考えているのが、2世を取り巻く情勢は、近年大きく変わりつつあるのではということだ。それはやはりSNSの発達によるところが大きい。
これまでは、例えば自分の周りの人間(両親や友達)が全員信者だったとき、子どもたちはその宗教のマイナス面を知る術がなかなかなかった。昔は自分の信仰に疑問を抱いても、iモードの小さい画面を見つめながら、2ちゃんねるやブログなどで、必死に脱会した人の話を漁ったり、Amazonで絶版になった告発本などを取り寄せるしかなかった。それをわざわざやろうとする人は、ごく少数だったと思う。
しかし今はSNSを開けば、脱会者のアカウントはたくさん見つかるし、世間の人がいかにその宗教を冷ややかな目で見てるかということもわかる。浴びるように情報を得られてしまうのだ。10〜20代の2世たちは、世代的にスマホやSNSが使えないなんてことはないので、着実に洗脳が解ける機会は増えていると思う。あまり誰も言っていないことだけど、SNSはこの界隈にとってでかい影響を及ぼしているはず!