コラム
【連載】わが子から引き離された母たち

「元夫には再婚してほしい」子どもを連れ去られ、共同親権運動を行うシングルマザーが今思うこと

2021/03/30 21:00
西牟田靖

――子どもたちが連れ去られたのはいつですか?

 夏休みの前です。金曜日だったので、朝、普通に子どもたちと「行ってらっしゃい」と別れて。前日も一緒にお風呂に入って普通に過ごし、変わった様子はありませんでした。裁判でも「同居前提で進める」とのことだったので、安心していました。

 ところがです。夜7時半過ぎて、家に帰ったら子どもがいない。ただ、すぐにはわからなかった。というのも、相手は家の中から、自分の荷物だけを持っていったんですね。午後8時を過ぎても帰ってこなかったときに「あ、これはいよいよマズいわ」と思って、保育園などの関係者に電話しました。連れ去られたという事実に思いが至って、さすがに愕然としました。その日は全然眠れませんでした。

――連れ去られた後、どのように過ごされたのですか?

 「電車に飛び込めたら楽だよなぁ。でもそうしたら、きっと子どもがいつか泣くなぁ」「元夫は葬式で自分のしたことの罪深さに殊勝な悲しいふりをしながら、内心ほくそ笑むのだろうなぁ」などと、茫然自失のなか、気がつくと、仕事中でもいつでも涙が流れる状態で、日常を過ごしていました。週末はもちろん、空いた時間があると、子どもたちを探しに行きました。

 そして連れ去られて10日ぐらい後に、偶然道端で会ったんです。ずっと私に会えずに、いきなり引っ越しをさせられた子どもは、その場で「やっぱりママがいい」って抱きついてきて。当時6歳と4歳の子どもが、泣きながら再会を喜びました。

 でも、それもつかの間で、父親はそれを許さず「ママにはすぐ会えるから!」と言い張り、抱きついた子どもたちを無理やり引き離し、子どもたちを連れて走って逃げていきました。その後、彼の弁護士から「お母さんに会うと子どもたちが不安定になるので、今は会えません」との通告を受け、断絶の状態に入りました。

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