[再掲]インタビュー

『カイジ ファイナルゲーム』実は恐ろしい? 「犯罪と嘘」にまみれた“ギャンブル依存症”の実態

2021/02/12 20:30
石徹白未亜(ライター)

ギャンブル依存症によくある誤解とは?

――はた目には「普通」に見える人たちがそうだとすると、周囲は気付かないですよね。

田中 銀行マンのお父さんの退職金を、ギャンブル依存になった子どもが全部使い切ってしまい、結局、ご両親は生活保護を受けているケースがありました。昔の時代の銀行マンですから退職金も高額だったはずです。でも、生活保護を受ける状況になって、ようやく「ギャンブル依存症問題を考える会」へご相談にいらっしゃいました。

――なぜ、そこまで状況を放置してしまうのでしょうか?

田中 自分や身内の問題を誰にも言えないんです。日本に強い「自己責任論」が大きいでしょうね。それに、ギャンブル依存の啓発教育も進んでいません。うちに来る相談でも、自分の子どもや夫がギャンブル依存症だと思っていない人が結構いるんですが、根拠は「だって、うちの夫や子どもは仕事してるんですよ?」なんです。「うちの子どもは仕事をしていますから、依存症というほどではないと思うんですけれどもね。まあ、ギャンブルの借金は1000万ありますけど」、みたいな相談があったりしますよ。

――田中さんに相談される方は、ギャンブル依存の当事者の親が一番多いんですか?


田中 親と奥さんが半々ぐらいですね。「100万から500万の借金の尻拭いをして気づいた」という方が多いです。以前は、相談に来るまで時間がもっとかかっていたんです。その頃は、親が金持ちでしたから、食い尽くすまで時間があった。でも今の50代は、子どもの借金を尻拭いできるほど、お金を持ってないですからね。

ギャンブル依存者へ絶対にやってはいけないこと

――身近にギャンブル依存の人がいた場合、やってはいけない支援はありますか?

田中 お金を貸すことです。絶対に貸してはいけません。「ギャンブル依存者に金は絶対に貸さない」、これは基礎知識として共有したいですね。そもそも、会社員ならクレジットカードなどを使えば、一時しのぎの借金なんてできますよね。にもかかわらず、人にお金を借りようとするということは、カードで借金ができないほどの状況と考えられます。相当ヤバいですよね。そもそも、社会人になってから、友達に「ごめん2万貸して」って言ったことありますか?

――ないですね……。

田中 普通、ないですよね。しかし、借金の肩代わりをしちゃう人は本当に多い。「嘘をつくのがうまいから、つい貸してしまった」とみなさん言うんですが、そもそも貸さなきゃいいんです。


 身近な人からお金を無心されたら、「あなたが抱えているギャンブルの問題について、何も手助けできない。だから、自分で医療施設か相談機関かGA(ギャンブラーズ・アノニマス、匿名で話すことができる自助グループ)に相談へ行きなさい」と言ってください。相手は必死にいろんな嘘をついてきますが、お金は絶対貸してはいけません。

カイジ ファイナルゲーム