コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
「中学受験をしなければ」富裕層の通う私立卒業も……「大学奨学金400万円」の借金を背負う女性の告白
2020/12/27 16:00
雲行きが再び怪しくなったのは千尋さんが中学2年生になったあたりだったそうだ。
父親がリストラとなり、勤めていた会社を早期退職。再就職がうまくいかず、収入が激減してしまったという。C学園は学費が高いことで有名な学校だけに、「学費が工面できなくなった」と父から伝えられ、公立に転校するように促されたそうだ。
「その時は本当に泣きましたね。親の都合で私立に行けと言われたり、行くなと言われたりで、『勝手すぎる!』って思いました」
結局、C学園の学費は母方の祖母が工面してくれ、なんとかそのまま通学することができたという。
「ご承知のようにC学園は富裕層が行く学校で、入学時もウチは相当、背伸びをして学費を払っていました。ただ、当時の私は子どもだったので、その辺の事情まではわからなかったんです。父の収入は激減したままなので、生活するだけでやっと。それで、年金暮らしの祖母に大学の費用までをも負担してもらうことはできず、私は貸与型奨学金で大学に通いました」
その額、400万円。就職で一人暮らしを始めた千尋さんにとっては、とても大きな借金だという。加えて、このコロナ禍の影響により収入は減るばかりで、貯金をする余裕はまったくないそうだ。
「もちろん、C学園は楽しかったですし、卒業させてもらったことは感謝もしています。ただ、父のリストラは致し方ないにしても、もしかして、あの高額の習い事や、中学受験塾やC学園の入学金などを使わずに、親が大学進学のためにプールしておいてくれていたら、こんな借金を背負う必要もなかったのかなぁ? って。親に対しては疑問に思うこともあります」