『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』ヤンキーではない「中卒」の実情「最終学歴は中卒だけど… ~ボクの働く場所~」

2020/08/31 17:21
石徹白未亜(ライター)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。8月30日は「最終学歴は中卒だけど… ~ボクの働く場所~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 原宿のベンチャー企業「ハッシャダイ」は17~24歳の若者に向けた半年間のインターンプログラム「ヤンキーインターン」事業を4年前から始め、350人以上の若者を社会に送り出している。今回の放送では、そこに集った4人の中卒男性にフォーカスを当てる。

 古河は母子家庭で育ち、生活保護を受けているため、働いて得たアルバイト代を差し引かれる生活を送ってきた。親孝行がしたいと話すも、ギラギラと上昇志向の強いほかの参加者とのギャップに苦しみ、リタイアしたいと申し出る。一度は説得されるが、結局インターンから離脱してしまう。安藤はビジネス書や自己啓発書を愛読しており、要約ノートまで作る勉強家だ。病弱な母と多忙な父親という家庭に育ち、妹の世話も安藤がしていたためレベルの低い高校へ進学することになり、結局中退してしまったという。インターンの電話営業では優秀な成績を残すも、「次」を目指し2カ月でヤンキーインターンから離脱する。

 次期に参加した浅見は明るく、輪の中心にいるムードメーカーだ。国立大の付属小学校に通うほど優秀だったが、両親の離婚で生活が荒れ高校を中退する。しかしもともとの頭の良さを生かし電話営業の成績も優秀だ。しかし、その浅見の倍以上の営業成績をたたき出すのが伊藤。遠慮のなさで、ぐいぐい営業先に食い込んでいく伊藤だが、貧しい母子家庭で育ち、母親が精神病を患い小学3年生から不登校だったという。

 浅見は伊藤をライバル視しており、一方伊藤は大胆な営業スタイルとは裏腹に、皆の輪に入りたいものの食事も一人で取るなど人付き合いに苦手意識がある。ハッシャダイの講師で、ヤンキーインターンの一期生でもある前田は気を利かせ二人を焼肉に誘う。


「ヤンキーインターン」の字面とは異なる経歴

 「ヤンキーインターン」「中卒」という言葉を聞くと、成人式で暴れてるような若者をつい連想してしまいがちだが、実際、番組内で紹介された4人は皆、パリッとスーツを着こなした、真面目な青年だった。古河、伊藤は母子家庭で、経済的にもかなり厳しい状況だったようだ。ついイメージしがちなものとは違う「中卒」の姿を伝えた放送だったと思う。

 『ザ・ノンフィクション』では、京都で住み込みをしなから舞妓さんを目指す少女たちの生活を長期で見つめるシリーズもあり、そこでは「最初頭角を現した子が案外長続きしない」ケースがたまに出てくる。今回のヤンキーインターンも、18歳にしてビジネス書を読みあさり、電話営業でも顧客に応じた営業トークを用意し優秀な営業成績を収めていた安藤が2カ月でヤンキーインターンから離脱していた。

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