サイゾーウーマンコラムネットワークビジネスの仲間を断ち切れない母 コラム 老いゆく親と、どう向き合う? ネットワークビジネスの仲間を断ち切れない母――「怒りが湧く。自宅に来るのが怖い」介護する娘の心労 2020/07/26 18:00 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) 瞑想グループの“仲間”から離したい もうひとつの問題は、しょっちゅう晃子さんのもとにやってくる“仲間”だ。 「花を持ってきてくれたりして、外面は優しいんですよ。母はすっかり心を許しています。どんな会話をしているのか調べようと思って、仲間との話をかげで聞いてみたりもしました。どんな状況かはわかりませんでしたが、母のタブレットを借りて、何かの証拠を隠滅しようとしていたんです。また、振り込んでいるのは何の代金か母に聞いたら、『私にはわからないから、Aさんに聞いて』と言うので、その仲間Aさんに確認したところ、『私にもわからないので、ほかの人に聞いておきますね』と言ってはぐらかされました。あとで母のスマホを見ると、『娘さんの意見を聞くのはいいけど、最終的に決めるのはあなたよ』などとメッセージを送って、私の言うことを聞かないようにクギを刺していたんです。とにかく、この仲間が元凶。怒りが湧きましたが、母を否定してしまうとダメだし……」 しかし、中村さんは悩みながらも冷静だった。正面から、晃子さんときちんと話すという方法を取ったのだ。 「『いつか来る日のために、家族がケンカしないように準備をしよう』と母に遺言書を書くことをすすめました。そして、正直に『通帳を調べたら、大金がネットワークビジネスの会社に振り込まれていたのを発見した』、『法律的なことも調べて、家族といえどもほかの人の名前で契約するのは母の過失になる』と伝えました。そしてその会社にこれまで母がいくら使ったのか、どれだけの利益を出したのか、表をつくって数字として示したんです』 正攻法で来た中村さんに、晃子さんは怒ることも、拒否することもなかった。逆に、「今はそのビジネスをやりたくない」と打ち明けたという。 「おそらく母もネットワークビジネスに疲れていたんだと思います。それで、母には月にいくら使うか決めて、収支をノートに記入することを提案しました。そして定期購入も、これまでの契約も解約することにして、退会届を取り寄せることにしたんです」 次のページ コロナで緊急事態宣言が出ていても自宅にやってくる 前のページ123次のページ Yahoo 親のお金守ります / 小早川浩 〔本〕 関連記事 「母がネットワークビジネスにハマっていた」がん終末期に明らかになった、“常軌を逸した”投資金額「お母さんに告知しますか?」がんステージ4の母、要介護4の父――30代女性が抱えた両親の介護「突然大声を上げて怒り出す」要介護4の父と生活保護の兄……30代女性が背負った“家族”と“介護”の現実高齢者住宅で女たちの大ゲンカ勃発! “ボスババ”と義母が取っ組み合い、仲良しグループ終焉のワケ明るく聡明な母で尊敬していたが――「せん妄」で知った母の本心【老いゆく親と向き合う】