「元極妻」芳子姐さんのつぶやき82

四代目山口組組長射殺事件の“ヒットマン”からの手紙――元極妻が語る、「人殺し」ヤクザの心情

2020/06/21 16:00
待田芳子(作家)
四代目山口組組長射殺事件のヒットマンからの手紙――元獄妻が語る、「人殺し」ヤクザの心情の画像1
『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一~獄中書簡356通全公開~』(木村勝美著、かや書房)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

75歳になったヒットマン

 話題の『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一~獄中書簡356通全公開~』(木村勝美著、かや書房)がようやく届いたので、読んでみました。

 2002年からの、長野さんの手紙をまとめたものだそうです。長野さんは、1985年1月に起こった四代目山口組・竹中正久組長の射殺事件のヒットマンで、無期懲役の判決を受けて今も熊本刑務所(不良的には「クマケイ」)に服役しています。マスコミ嫌いだったそうですが、著者の木村さんから「自分も80歳になり、体力のあるうちに取材したい」という手紙を受け取り、ご自身も75歳ということで心が動いたのだそうです。

 竹中組を率いていた竹中組長が四代目に襲名した「山口組」と、それに不満を持った山広組・山本広組長らが山口組を脱退して立ち上げた「一和会」との抗争である「山一抗争」(1984〜89年)については、お聞きになったことのある方も多いと思います。四代目の射殺で、山一抗争は一気に火がついてしまい、双方に多くの死傷者を出すことになります。

 長野さんは94年にクマケイで竹中組の関係者から暴行を受けていて、これは私も聞いたことがありました。当時は長野さんとは存じませんでしたが、この件について長野さんは「これは褒めてやりたい。私も立場が逆なら同じことをしてます」と書いていて、さすがという感じでした。すでに仮釈放へ向けた面接も受けておられるそうで、ひとまず安心です。


極姐2.0 ダンナの真珠は痛いだけ / 待田芳子