「成仏不動産」インタビュー【前編】

事故物件の告知基準は曖昧すぎる!? 「30年前に殺人事件が起きた部屋」は事前に教えてもらえるのか?

2020/05/16 16:00
サイゾーウーマン編集部

「事件性がない」から事故物件ではないとする業者も

ーー事故物件取引の際、告知をめぐって、「不動産会社」側と「買主・借主」側の間でトラブルが増えていると聞くのですが、具体的にどのようなものなのでしょうか。

花原浩二氏(以下、花原) 不動産会社が心理的瑕疵事項を告知せず、後から借主や買主の方が事故物件であることなどを知って、トラブルになるんです。「成仏不動産」は事故物件専門の不動産会社なので、心理的瑕疵事項を全てお伝えしているため、特にトラブルが起こっているわけではないのですが、世間的にはよく聞く話です。

佐藤祐貴氏(以下、佐藤) 昔から事故物件であることを告知していない不動産会社はあったと思うのですが、最近は大島てるさんのサイト(事故物件の情報提供を行っているサイト)などで、買主や借主の方が、自分で事故物件かどうかを調べられるようになったので、トラブルに発展することが増えたのではないかと思います。

花原 国交省がガイドライン作成に乗り出したのもそうですが、だからこそ不動産会社は告知に関してちゃんとしましょうという流れにはなってきていますね。

ーー告知基準の前に、そもそも事故物件の定義自体はどうなっているのでしょうか。


花原 定義自体にグレーゾーンがあります。殺人、傷害致死、火災による死、自殺、孤独死(発見が遅い場合)が起こった物件は、一般的に事故物件と定義されますが、発見までの時間が早い孤独死、また室外ではあるが部屋に近い場所で亡くなった場合(例えばマンションで飛び降り自殺が起こった際、亡くなったのは共有部分ではあるものの、部屋の目の前だったなど)、加えて、何年前の事故までを事故物件とするかというのが曖昧なんです。

佐藤 あと、前に住んでいた人が室内で亡くなったとしても、「事件性がない」場合、買主・借主にその事実をお伝えする一方、「事故物件に当てはまらない」とする業者も多い。事故物件と言われることで、買主・借主がつかなくなるのを恐れるからです。

ーーとなると、「告知をちゃんとする」というのも難しいものがありますよね。

花原 知り合いの不動産会社の方から、「こういう場合は告知したほうがいいんですか?」と問い合わせがくることもありますよ。現状では、「買主・借主が『その情報を知っていたら選ばなかったのに』という事項は、事前にお伝えしましょう」という告知のルールしかない。しかし、買主・借主が何を基準にして物件を選ぶか、選ばないかはそれぞれであるため、告知基準にもグレーゾーンが生まれてしまうのです。

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