ク・ハラさん、兄が「リベンジポルノ裁判」に言及……「女性だけじゃない」被害の実態とは?
このように男性の体は「軽んじられてきた」という渡辺氏。それこそが、リベンジポルノ被害の軽視につながると考察を広げる。
「男性の“性”は、これまでもずっと尊重されてこなかった。例えば、性教育で、女性の体について『とても大事なものだから、むやみに人に見せたり、勝手に触らせたりしてはいけません』と教わることはあっても、男性の体についてはそういった教育は殆どされません。また、女子が初潮を迎えたときには、お赤飯を炊いてお祝いするのに、男子が精通しても祝わない。本来ならば“一人前の大人になった”と祝われてもおかしくないはずです。それに、男性の自慰行為も『やりすぎると頭が悪くなる』なんていわれたりしますから。男性の体は、“価値が低いもの”とみなされてきたとも言えるでしょう」
また、男性のリベンジポルノ被害が表面化しない理由には、“男らしさ”というものへの世間の思い込みも影響しているという。
「『男は強いから抵抗できたはず』『男なのにそんなことを相談するなんて弱い奴』など、日本には“男のくせに”という偏見があります。そのため、リベンジポルノ被害に遭っても、『相談するなんて恥ずかしい』と思ってしまうのです」
しかし、それ以上に深刻なのが、そもそもリベンジポルノ被害に遭った男性自身が、「自分は被害者である」と自覚できていない点だと、渡辺氏は続ける。
「やはり、『性被害は女性が遭うもの』という考えが根強くあり、男性が性的に嫌な思いをしても、『被害に遭った』と思えない。男性も性被害に遭うことがある、性被害を相談することは恥ずかしいことではないと、学校や家庭で伝えていくことが必要です」
男性の性被害に関しては、昨年、「加害者は男性、被害者は女性」を前提としていた強姦罪が廃止され、男性被害者も対象にした強制性交等罪が施行された。
「正直言って、非常に遅い動きだと思いますが、これにより初めて男性の性被害者の存在がはっきり示されたわけです。リベンジポルノ被害に遭った男性も相談しやすいようになればいいですね」
そして、男女問わず、リベンジポルノ被害に遭う人がいなくなることを祈るばかりだが、こうした時代の流れを受け、週刊誌に掲載される男性タレントの「ベッド写真」等の扱いは、どのように変わっていくのだろうか。注視していきたい。