コラム
“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第501回】

財務省職員自殺も「大したことない」、芸能人とイベント三昧――日本の政権を握る恐ろしい夫妻

2020/03/31 21:00
神林広恵(ライター)
「女性セブン」4月9日号(小学館)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

NHKの朝ドラ『エール』がスタートを切った。2011年のNHKドラマ『下流の宴』を見て以降、最高のダメ男を演じる窪田正孝にはまってきたが、今回もまた、ダメ男ぶりが炸裂しそう。暗い世の中の、ささやかな楽しみだ。

第501回(3/26〜3/31発売号より)
1位「自殺職員妻『もう1人死者が出る』秘密裏直訴に 安倍昭恵さん『痛くも痒くもない』」(「女性セブン」4月9日号)
2位「米倉涼子 『収入3分の1でも独立』春の乱全内幕」(「女性セブン」4月9日号)
3位「志村けん 『緊迫続く病状』で降板へ…… 新朝ドラ『開始直前の大ピンチ!』」(「女性自身」4月14日号)

 コロナウイルス感染拡大で、東京都や政府が不要不急の外出の自粛を要請、花見もやめるよう呼びかける状況となっているが、そんな中、仰天のニュースが先週飛び出した。それが、首相夫人である安倍昭恵夫人の“お花見報道”だ。これをスクープしたのは現在発売中の「週刊ポスト」(小学館)だが、それに先立ちニュースサイト「NEWSポストセブン」が報じたことで大きな批判が巻き起こっている。

 自粛が叫ばれている3月下旬に、安倍首相の妻であり、ファーストレディの立場にある昭恵夫人が、芸能人ら10人以上のグループで花見を楽しんでいた。もうあぜんとするしかないが、同じ小学館の「女性セブン」でも昭恵夫人のあまりに心ない行状がスクープされている。

 それが森友問題の決裁文書改ざんを強要され、自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんに関するものだ。赤木さんに関しては3月18日発売の「週刊文春」(文藝春秋)で赤木さんの妻が遺書を公開し大きな反響を呼んだが、「セブン」によると、それ以前の昨年10月、昭恵夫人に赤木さんの妻からある訴えがあったという。それが赤木さんの直属の上司で赤木さんの死後も妻の相談に乗っていたというAさんが、相当に追いつめられていて、もしかして自殺するかもしれないというもの。しかし、それを昭恵夫人に伝えた政界関係者によると、昭恵夫人は「痛くも痒くもない様子」で、「“どうしたらいいでしょう”と言うばかりで何もしようとしませんでした」とのことで、その後は一切の連絡もなくなったというのだ。

 記事には書いていないが、この上司は赤木さんが信頼し、赤木さんの1周忌に妻のもとを訪問、その際、赤木さんが文書改ざんの経緯について実名入りで詳細を記した書類を作成しており、その書類は検察に提出されたと明かした人物だろう。そう考えるとこの上司も“相当に追い詰められていた”との「セブン」内容と合致する。

 いずれにせよ、昭恵夫人は森友問題の発端を作った“張本人”だ。森友問題で、安倍首相が「私や妻がかかわっていたら総理大臣も国会議員も辞める」と国会で宣言し、それをきっかけに文書改ざんが行われ、昭恵夫人の名前が削除された。そして、改ざんを苦に赤木さんが自殺。なのに昭恵夫人は赤木さんが自殺した直後も、芸能人の出席するイベントに参加し、その楽しそうな様子をフェイスブックにアップしている。その後も、赤木さんの妻からの訴えに耳を貸さず、さらに今回のお花見も、赤木さんの遺書が公開されてから、さほど時がたっていないにもかかわらず、なんのてらいもなく決行されていた――。

 おそらくこの人は他者への共感性や想像力は皆無なんだろうな。無神経なんだろうな。自分のことで死者が出てもへっちゃらで、首相の夫も質問者に逆ギレしながら妻を国会で擁護する。さらに、記事には夫である安倍首相が“遺書が公開されても大した影響はない”という世論を作り出すように指示したことも記されている。すべて昭恵夫人と自分を守るため。なんとも恐ろしい夫妻が、日本の政権を握っている。

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