[女性誌速攻レビュー]「Domani」4・5月号

「Domani」港区タワマン住民の「子育て」は時代逆行!? 「洗濯板を使わせる」意識の高さに衝撃

2020/03/21 16:00
島本有紀子(ライター)

化粧の濃い人は「ママらしくない」?

 続いては「‟はじめまして!”の『ママの日』メーク、『ワーの日』メーク」。今号で最も「Domani」の闇を感じた企画です。

 子どもの新学期はママにとってもコミュ力が試される時だとして、「『コミュ力が高そう』と思わせるメーク」を紹介しているのですが、読者モデル「Domanist」6人による座談会の内容が、とにかく恐ろしい。

 まず、産前はバッチリメークだったという読者モデルの、こちらの発言。

「それまでと同じメークで児童館に行ったらナチュラルメークのママから話しかけられなくて。その代わり、メークもファッションも気合いの入ったママに声をかけられました(笑)。濃いメークにしたつもりはなかったけれど、ママらしさはなかったかも」

 児童館デビューで誰かからあからさまに無視されたり、仲間外れにされたわけでもない上、「メークもファッションも気合いの入ったママ」に声をかけてもらえたなら万々歳では? と思える話ですが、なぜかこの方は「(笑)」をつけ、これを“失敗談”として語っています。自分のメークに「ママらしさはなかった」ことが“失敗”の原因だと分析していますが、その「ママらしさ」は、この読者モデルの個人的観念に過ぎません。「児童館でメークもファッションも気合いの入ったママ」を、この読者モデルは「ママらしくない」と感じ、無意識に「一緒にされたくない」と思ったのでしょうか。


 また別の読者モデルは、薄いメークのときにママ友と会ったときには、「今日の顔は違うんです。これでラベリングしないで」と思うとか。一方で、仕事の都合でフルメークだった日に保護者会に遅刻した時のことは「初対面の人には『子どものことを差し置いてメークを優先するなんて、自分のことが大好きな人かしら。お子さんもそういう性格?』って思われたかも」と振り返っています。メークが薄くても濃くても悩みは尽きない様子。

 読者モデルの方々には、思い込んでいる「ママらしさ」や「ラベリング基準」に縛られず、もっと気楽に生きてほしい! と思うと同時に、そもそも「ママらしさ」「ラベリング基準」の刷り込みを行っているのは、「Domani」のこういう企画なのだと気づきます。

 「Domani」は、“たった一瞬のメークやファッションの印象で他人をラベリングすること”を普通のことだと捉えているのだろうか? 子どもにもそう教えるようなママが想定読者なのだろうか? と考えると、ますます恐ろしくなってきます。

 実際の読者のほとんどは、この座談会に出てくるような凝り固まった思考を持っていないだろうし、ワーママ川柳のような忙しさの中で、他人のメークをそこまで気にしていないのでは。「Domani」は、ワーママを応援しているようで逆になめている……と思われても仕方ないかもしれません。

Domani(ドマーニ) 2020年4月号