カルチャー
ホラー女王・犬木加奈子先生インタビュー【前編】

「たたりちゃんは私だった」犬木加奈子が回顧する“少女ホラー全盛期”と“いじめの実態”【『サバイバー』インタビュー前編】

2020/03/04 17:00
有山千春(ライター)

 80年代~90年代、全国の子どもたちのハートをわしづかみにしたホラー漫画家・犬木加奈子さん。『不思議のたたりちゃん』や『不気田くん』をはじめとする、一度見たら忘れられない恐怖心煽るタッチで描かれる、哀しく優しいドラマが展開される作品はどれも、大人になった今でも胸を打つ。そんな犬木さんは現在、児童虐待をテーマにした『サバイバー~破壊される子供たち~』(まんが王国)を連載中だ。かつてはたたりちゃんと同じ小学生、そして現在は最新作の加虐親と同世代となったいちファンが、ホラー全盛期から現在の活動までを、ファン目線で聞いた。

『不思議のたたりちゃん』(C)犬木加奈子(電子書籍版・2巻より引用)

過去の自分に向けた「たたりちゃん」

――『不思議のたたりちゃん』には、小学生の頃たいへんお世話になりました! たたりちゃんの、哀しくも優しいあのキャラクターは、どうやって生み出されたんでしょうか?

犬木加奈子さん(以下、犬木) 「ヒット作を出さないと」と焦っていた頃、それまではなかったいじめ自殺に関する報道を頻繁に目にしたことが、着想のきっかけでしたね。

――1986年に起きた、担任までいじめに加担し生徒が自殺した「中野富士見中学いじめ自殺事件」でしょうか。

犬木 同時に、知り合いの漫画家から、「わたしなんか、給食の鍋を頭からかぶせられたことがあったよ」なんて聞いて、そういういじめって、物語のなかの話だと思っていたので「実態はもっと凄惨なのか」とびっくりしたんです。

『不思議のたたりちゃん』(C)犬木加奈子(電子書籍版・3巻より引用)

犬木 わたし自身も学生時代は、自ら積極的に話しかけて友達の輪に入っていけるような、社交的なタイプではありませんでした。だからおのずと、1人でいることが多かったんです。そのときの、“教室にひとりでいる”あの感覚って、いたたまれないんですよねえ。「2人組をつくってください」と言われたときに、ポツンと1人になってしまうのも同じ感覚です。いじめられていたわけではないから、親や先生に言えないですし。

 ちょうど学校の図書館や教室の棚に、漫画が置かれ始めていた頃だったので、「教室で、いじめられている子やわたしのように馴染めない子が、読んでくれるといいな」「現実にはおとなしくて言い返すことさえできない子たちの心が、少しでも晴れるといいな」と思ったことが、『たたりちゃん』を描くきっかけになりました。

 特に休み時間ってつらいじゃないですか。だからその時間だけでも、「たたりちゃん=わたし」が、友達代わりになれればいいなと思ったんです。過去の自分に向けて描き始めたような思いもありましたね。

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