カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「Seventeen」3月号

「Seventeen」JKにとってマスクは“小顔アイテム”!? 矛盾だらけファッション企画でモテを推奨

2020/02/26 21:00
藤本なつき(ライター)

 続いてチェックしたのは「ヒンシュク買わずにアプローチできるのはどっち? 女子ウケモテコ/嫌われモテコの分かれ道」という企画。女子から「あざとい」と思われることなく、意中の男子に近づくためのテクニックがクイズ形式で掲載されています。

 具体的に見ていくと、笑い方をひとつとっても重要だといい、「教室に響き渡るくらい思いっきり」笑うのではなく、「フツーの笑い声くらいのテンション」に抑えた方がいいとのこと。確かに、テレビ番組でもリアクションが大きすぎる芸能人は嫌われますが、笑う時ぐらい人目を気にしなくてもいいのでは。そのほかに、授業中の寝方は「かわいくほえづえをつく」よりも「うつぶせでガン寝」することをオススメしているものの、居眠りまで計算する時点で、どちらもあざとすぎる……。また、男女で遊びに行く時は「ふわふわ系の淡色コーデ」よりも「カジュアルなモノトーンコーデ」が良いそうですが、STのファッションページはぱっと見8割方が淡色。頻繁に掲載されているモテ企画は使い物にならないということでしょうか。

「男女両ウケ」のために、他人の目を気にすることは、そんなに大切なのかと首を傾げてしまうこの企画。最近なにかと話題の一曲ですが、それぞれの個性を尊重する「世界に一つだけの花」をST読者に聞いてほしいものです。

マスクは単なる「小顔アイテム」? 不衛生さを感じるメイクページ

 最後に見ていく企画は「冬の必需品“マスク”をしててもかわいく見えるためには? ちょこっとワザで、ぐんと差がつく! JK的マスク映えヘアメイク」。新型肺炎やインフルエンザ、花粉症対策として、マスクを使用する頻度が高くなり、日本各地で品薄状態が続いていますが、JKたちはそんな時でもかわいく見える方法を模索している様子。

 押さえるべきポイントとして、アイメイクは盛り気味、おくれ毛で小顔見せ、前髪は薄めでおしゃれ&小顔効果を狙うといったことが紹介されていました。モデルたちはバッチリメイクを施しながらもマスク姿で誌面に登場しており、まるでモノマネメイクで話題になったざわちんのよう。肝心のメイク方法は、アイメイクしか紹介されておらず、いつものメイクページと代わり映えしなかったような。

 また、マスクのうれしい点として、「小顔効果」を挙げていたものの、そもそもの使用目的である「風邪や感染症対策」についてはまったく触れておらず。挙げ句の果てには、マスクを裏表反対に付けたり、表面に指が触れているなど、使い方が間違っており不衛生……と思わずにいられません。かわいいや小顔を気にする前に、マスクの正しい使い方を教えた方がよいのではないでしょうか。

 今月も「モテ」を軸に、ファッション、メイク、行動まで、参考になるのか“微妙”なアドバイスがたくさん掲載されていたわけですが、「モテ」の呪縛から解かれたら、人の目を気にせずに学校生活を楽しめるのでは……と思ってしまいました。

藤本なつき(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。年代ジャンル問わず、女性誌をチェック。現在は、サイゾーウーマンで「Seventeen」(集英社)レビューを担当中。

最終更新:2020/02/26 21:00
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