カルチャー
犯罪ジャーナリスト・小川泰平インタビュー
「令和のキャッツアイ」に騒然! 捜査三課の元刑事が語る、連続窃盗犯に“異名”がつくワケ
2020/02/22 16:00
では、連続窃盗犯の“異名”のつけ方には、何かルールはあるのだろうか。
「『窃盗犯の手口+名前』という形ですね。例えば、ズボンの尻ポケットに入った財布(ケツパー)を抜き取る手口を専門とするスリは『ケツパーの〇〇』という“異名”がつけられます。また、神社仏閣の祭礼や縁日などを専門とするスリ(高町師)は『高町の〇〇』、飲食店などの椅子やハンガーにかけられた上着やバッグ類を狙ったスリは『ブランコの〇〇』、日が暮れる頃に灯りのついていない留守宅を狙う空き巣(宵空き)は『宵の〇〇』……といった具合です。窃盗犯の姿かたちを“異名”に取り入れるケースもあって、例えば『メガネの〇〇』『ちょんまげの〇〇』など。まぁ、あまり長々とした“異名”は言いにくいので、もっと簡単に『メガネ』『ちょんまげ』と呼ぶことも多いですね」
捜査員の間では、「いま誰やってるの?」「メガネだよ」「あぁアイツはいい(ホシだ)ね」などといった会話が交わされているそうだ。こうした“異名”は、一般人からすると独特な慣習に感じるが、「捜査員にとってはあくまで日常的なもの」という。
「窃盗犯に“異名”をつける慣習は、かなり昔からあります。それこそ、皆さん知っている江戸時代後期の有名な盗人『鼠小僧』も、“異名”ですからね。江戸時代中期の火付盗賊改方長官・長谷川平蔵をモデルにした時代劇『鬼平犯科帳』(フジテレビ系)にも、犯行の手口から“異名”がつけられる盗人は数多く登場しています」