サイゾーウーマンカルチャーインタビュー連続窃盗犯の“異名”めぐる舞台裏 カルチャー 犯罪ジャーナリスト・小川泰平インタビュー 「令和のキャッツアイ」に騒然! 捜査三課の元刑事が語る、連続窃盗犯に“異名”がつくワケ 2020/02/22 16:00 サイゾーウーマン編集部 インタビュー 「先生」という“異名”を持つ忍び込みの大ベテラン ところで、小川氏にとって、思い出深い“異名”の人物はいるのだろうか。「『先生』という人がいましたね……」。そう切り出された人物は、小川氏が生まれた1961年には、「もう泥棒だった」という忍び込みの大ベテランだそうだ。 「『刑事さん、年いくつなの?』なんて聞かれて、『二十うん歳だよ』と答えると、『二十うん年前は、旭川(刑務所)にいたなぁ』と言われました。『先生』は、いろんなことを教えてくれましたね。忍び込みについても『なんで簡単に入れそうなこっちを避けて、別のほうから入ったか、わかるか』『これには理由があるんだ』と説明してくれ、『なるほど!』と。当時から、本人に直接『先生』と言っていましたが、『先生』が刑務所に入り、出所後にまた泥棒稼業を復活させる頃には、捜査員の間で『先生』という“異名”が飛び交っていましたね。『先生いったぞー!』『先生、今日ここら辺うろちょろしてるよ』なんてね」 また、“異名”をめぐるこんなエピソードも忘れられないそうだ。 「捜査員と被疑者が、事件に関係する場所を一軒一軒回りながら、犯行を検証する『引き当たり捜査』中、思わずいつもの癖で、被疑者を“異名”で呼んでしまうことがありました。例えば、その人物の“異名”が『ちょんまげ』だったとすると、つい『おい、ちょんまげ!』なんて声をかけちゃったり。そのとき本人から『俺、ちょんまげって呼ばれてたんですか?』『もっとカッコいいやつにしてくださいよ』とクレームが入ったことがありましたね」 「カッコいい“異名”」として、「せめて『怪盗ルパン』とか」と提案されたという小川氏。その際は、「怪盗ルパンに失礼だよ」と返したそうで、「まぁ本人も冗談のつもりで言っている感じで、笑っていましたよ」とのこと。 「逆に、“異名”を気に入っている奴もいましたけどね。例えば、金庫破りを専門にしている窃盗犯は『金庫の〇〇』という異名がつくのですが、それを『金庫と言えば俺だ』と自慢するように語る奴がいるんですよ。泥棒もプライドがあって、『自分が一番でいたい』と思っているようです。そういえば、『次はもっといい名前をつけてもらえるように頑張ります』と言っていた奴もいましたね。泥棒として“成長したい”という意味だったのか……」 窃盗犯にとって、モチベーションになってしまっては困りものだが、話を聞く限り、これからも世間の関心を引く“異名”が登場することになりそうだ。 小川泰平(おがわ・たいへい) 1961年愛媛県松山市生まれ。元神奈川県警の部長刑事。現職時は警察本部捜査三課、国際捜査課等で第一線の部長刑事として、主に被疑者の取り調べを担当。2009年、30年勤務した警察官を退職し、犯罪ジャーナリストに。著書に『現場刑事の掟』(イーストプレス出版)などがある。 前のページ123 サイゾーウーマン編集部 芸能・ジャニーズ・美容・暮らし・カルチャーなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト X:@CyzowomanC Instagram:@cyzowoman オンナを刺激するニュースブログ[サイゾーウーマン] 最終更新:2020/02/22 16:00 Yahoo 警察の裏側/小川泰平 「令和のキャッツアイ」は一生忘れられない 関連記事 元公安が語る『BG~身辺警護人~』――木村拓哉は“敏腕ボディーガード”に向いている!?元公安が語る『奥様は、取り扱い注意』――綾瀬はるかの「元特殊工作員の主婦」は結構リアル!?山口組、住吉会も「タピオカドリンク」参入! ブームをシノギにするヤクザの“次なる資金源”は?左目の眼球が零れ落ち……万引きGメンが見た「元カラーギャング店長VS外国人窃盗犯」の地獄絵図ベテラン万引きGメンが尊敬してやまない大先輩、「催事のスペシャリスト・敬子」の思い出 次の記事 女官たちが語る大正天皇「遠眼鏡事件」 >