サイゾーウーマンコラム日本のアウト皇室史天皇に仕える女官は プロ彼女? コラム 【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!! 天皇に仕える女官は “プロ彼女”? 「お世継ぎ」「添い寝」と女の争い【日本のアウト皇室史】 2020/01/25 17:00 堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト) コラム日本のアウト皇室史 モラルを持った明治天皇の側室事情 堀江宏樹さん(撮影:竹内摩耶) ――そんな明治天皇は、お肉がお好きだったと聞いたことがあります。女性関係でも相当な「肉食」でいらっしゃったのでしょうか。 堀江 いや、それがね、明治天皇はモテモテなのに、真面目でいらっしゃるんですよ。 明治天皇のご生母は中山慶子(なかやまよしこ)という女官です。彼女は、明治天皇にとって父君にあたる孝明天皇の典侍でした。『女官』によると、中山慶子典侍は、明治天皇が女官の誰かを側室にしなきゃという時に「いくら天皇さまだからといって、御自分の御勝手ばかり遊ばしてはいけません。こういうことは本人(=女官)も得心の上、これと(天皇が)お定めになった人以外に召されることは断じてございませんように」と“御忠告”なさったのだそうです。要するに同時並行で複数の女官を側室にするな! ということですね。モラルを問いたのでしょう。 それでも、実際に同時複数妊娠発覚みたいなパターンが1度だけありました。それは明治天皇が20代になったばかり、つまりごく若い頃のお話。詳しくいえば明治6年(1873年)頃に典侍だった葉室光子と橋本夏子のケースですが、2人とも子供は死産、ご本人も亡くなってしまっています。 その後の明治天皇ですが、お子さまの生まれ方を見ていると、1人の女官とのみ、ある時期まで集中的に関係を持ち、子どもを授かっていくというのが常道だったようです。ただ、そういうルールがあったところで、女官同士の争いは隠然と存在していたようで、明治天皇ご本人がこういう御製(=天皇の和歌)を作って、女官たちに自粛を求めていますね。 「むつましく 枝をかわせて 咲く梅も さかり争う 色はみえけり」一見、仲良さそうに咲いている梅の花々にも、お互いをライバル視して争う気配が感じられるものだ。女官同士、仲良くしてくれよ、とでも意訳しておきましょうか。天皇の後宮のことを昔から「御内儀(おないぎ)」と呼びましたが、御内儀生活は楽ではありませんでした。 次回は、2月8日更新予定。天皇に“言い寄られる”女官についてお話したいと思います。 前のページ123 堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト) 1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。 記事一覧 X:@horiehiroki 原案監修をつとめるマンガが無料公開中。「La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~」 最新刊は『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房) 最終更新:2020/01/27 12:35 楽天 愛と欲望の世界史 天皇の添い寝役って意味深! 関連記事 皇室の“知られざる”お正月事情――天皇陛下は大忙しでも女官は「朝から日本酒」!?【日本のアウト皇室史】職人技光る“皇室愛用ブランド”が廃業――「デパート」「通販」の台頭で消えゆく伝統【日本のアウト皇室史】「宮内庁御用達」は怪しい制度!? “皇室ブランド”にあやかるアウトな商売とは【日本のアウト皇室史】天皇の“愛人”だった女官たち……知られざる皇室ロマンスと女の牢獄【日本のアウト皇室史】「吉原の遊女と皇室の女官は似てる」? “下世話すぎる”昭和の皇室記事を紐解く!【日本のアウト皇室史】 次の記事 冬の日のネコ模様 >