サイゾーウーマンコラム日本のアウト皇室史皇室の知られざるお正月事情 コラム 【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!! 皇室の“知られざる”お正月事情――天皇陛下は大忙しでも女官は「朝から日本酒」!?【日本のアウト皇室史】 2020/01/11 17:00 堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト) コラム日本のアウト皇室史 明治時代の皇室、お正月ファッションとは ――明治時代のお正月、天皇皇后両陛下は、伝統的な装束姿だったのでしょうか? 堀江 例の「四方拝」の儀式の時、天皇陛下は天皇しか着ることのできない「黄櫨染(こうろぜん)」という色の束帯をお召しだそうです。しかし、臣下の前に姿を現すとなると、最初から両陛下ともに“洋装”なんですね。「文明開化」した明治時代、古くから伝わる伝統的な朝廷装束について実は否定的。同時代にヨーロッパで使用されていた宮廷服の方が、重視されていたことは確かなんです。 天皇陛下は記録によれば「大元帥の大礼服」。わかりやすくいえば、明治天皇の御真影として知られている、あの絵のようなお姿だったそうです。ちなみに大礼服とは、最高の正装という意味。皇后陛下も「マント・ド・クール」と呼ばれる、ドレスを大礼服として着ておられました。現代の女性皇族の最高の正装は「ローブ・デコルテ」ですが、「マント・ド・クール」は、何メートルにも及ぶ長い裾を引きずった、さらにゴージャスなデザインのドレスですね。 『明治150年記念 華ひらく皇室文化 −明治宮廷を彩る技と美−』(青幻舎) こちらの著書『明治150年記念 華ひらく皇室文化 −明治宮廷を彩る技と美−』(青幻舎)の表紙中央のドレスが、明治天皇の皇后・昭憲皇后が1912年(明治45年)の新年に着用なさったと伝えられる「マント・ド・クール」です。 当時、日本の刺繍は世界最高峰の技術として知られており、このドレスにも菊の花々の刺繍がふんだんにあしらわれています。この本には「糸菊」のデザインだと解説されていますが、本当は「奥州菊」と言うべきですね。江戸時代に上方(関西)で作られ、東北地方で発達した品種の菊です。いわば和洋折衷的なデザインのドレスなんですが、昭憲皇后が当時の日本と世界を結ぶ存在だったことを感じられます。また、ダイアモンドのついたティアラやネックレス、腕輪などをキラキラと輝かせておられる皇后のお姿は、女官たちの心をそれはときめかせました。次のページ 朝から日本酒! 酔っ払った女官がひと悶着!? 前のページ123次のページ 楽天 愛と欲望の世界史 関連記事 職人技光る“皇室愛用ブランド”が廃業――「デパート」「通販」の台頭で消えゆく伝統【日本のアウト皇室史】「宮内庁御用達」は怪しい制度!? “皇室ブランド”にあやかるアウトな商売とは【日本のアウト皇室史】天皇の“愛人”だった女官たち……知られざる皇室ロマンスと女の牢獄【日本のアウト皇室史】「吉原の遊女と皇室の女官は似てる」? “下世話すぎる”昭和の皇室記事を紐解く!【日本のアウト皇室史】「殺害疑惑」「僧侶とセックス」天皇と皇太后をクビになったヤバすぎる親子【日本のアウト皇室史】