サイゾーウーマンコラム年収2000万円エリート夫が二度の破産 コラム 老いゆく親と、どう向き合う? 年収2000万円のエリート夫が二度の破産――「夫婦ってなんだろう?」と妻が自問するワケ 2020/01/12 19:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? “「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける” ――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社) そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。 昨年、NHKで放送された『ドキュメント72時間』に、樹木葬を取り上げた回があった。亡くなった父親と母親の仲が悪かったという娘に、母親は「夫は最期は『ありがとう』と感謝していた」と明かし、「夫婦って、最終的につじつまが合うようになっているんですね」とつぶやいていたのが、強く印象に残った。今回は、老いた親と夫婦の関係について考えてみたい。 coji_coji_acさんによる写真ACからの写真 どんなにケンカをしていても最期は互いを思いやる 夫婦って何だろう……折田真由美さん(仮名・51)は、最近よく考える。 義父母は始終ケンカをしていた。二人で小さな定食屋を営んでいたが、営業中の店内でも言い争いが絶えなかった。折田さんと夫の稔さん(仮名・55)は、お客さんにも険悪な雰囲気が伝わるんじゃないかとハラハラしていたくらいだった。 そんな中、義母の体が動きにくくなっていった。「大丈夫だから」と義母は店に立っていたが、次第に歩くのも危なっかしくなってきた。心配した稔さんが義母を病院に連れていったところ、パーキンソン病だと診断された。10年ほど前のことだ。 定食屋は、義父一人でもできないことはなかったが、二人で店に立つことができなくなったので、この辺で潮時だと店をたたむことにした。 すると、義父母の関係はそれまでと一変した。 体が動かなくなっていく義母の介護を、義父は一人でやるようになった。「介護サービスを使えば」と、稔さんも真由美さんも何度も言ったが、義父は一人でできると言って耳を貸さなかった。「お母さんは、人の世話になるのはイヤな人だから」と。 「食事や入浴の介助はもちろん、下の世話から買ってきた服の手直しまで。小柄な義母にはズボンが長すぎるからと、それまで使ったことのないミシンを引っ張り出して縫っていました。その姿を見ると、涙が出てしょうがありませんでした」 折田さんの実父は、それより前に亡くなっていた。一人になった実母が、「夫婦はいくらケンカをしていても、最期はお互いを思いやるものだ」としみじみ言っていたが、義父母の関係を見ていると、その言葉がよみがえってくる。 「毎日ケンカばかりだったので、義父は義母に苦労をかけてきたと思って、義母の人生の最後にそのお返しをしているのかなと思うんです」 次のページ 「キャンプみたいで楽しいね」 12次のページ 楽天 借金完全整理 自己破産マニュアル 関連記事 「あなたは何もできない」蘇った母の呪縛――老母と暮らす50歳の娘の苦悩有料老人ホーム、職員の“全員辞職”で起こった変化――「入居者を守る」の意味有料老人ホーム、「入居者家族とは一切しゃべるな」新人介護士への理不尽な命令父の“終の棲家”を探して――自宅で同居をケアマネジャーに反対されたワケ【老いゆく親と向き合う】認知症の義母の介護中に、倒れた夫……ダブル介護を背負った嫁 【老いてゆく親と向き合う】