サイゾーウーマンカルチャーインタビューシャープTwitterの炎上リスクは? カルチャー インタビュー シャープ公式Twitter、一般人との絡みに「気持ち悪い」の苦言も――専門家に問う「炎上リスク」 2019/11/29 17:30 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) インタビュー 企業公式アカウントの代表的な炎上は「誤爆」 なお、小木曽氏いわく、一般的に企業公式アカウントの炎上事例では、圧倒的に「誤爆」が多いという。2016年、フォロワー数100万人のマクドナルド公式Twitterアカウントが、会社への愚痴をツイートし、即座に削除する一件もあった。 「中の人の個性を活かしている『シャープさん』とは違い、マクドナルドの公式アカウントはインフォメーションに特化したものでした。なのに突然、社内会議の愚痴がツイートされたのですから、大騒ぎ。ある意味、非常に面白かったのですが、“中の人”は泣きたかったでしょうね。こうした“誤爆”が起こるのは、併用しているプライベートアカウントの切り替えミスが原因です」 また、人気アカウントになると、“中の人”が「個人的な主義・主張」を発信して炎上するケースもあるそうで、政治や外交に関する持論を展開して大炎上、アカウント閉鎖に追い込まれるケースもあるそうだ。 「おそらく『シャープさん』は、公式アカウント専用の端末を使うなど、誤爆を防ぐ対策をちゃんとしていると思います。また“中の人”が、『シャープさん』という人格を、ちゃんと定義して、継続的に演じられているようにも感じますね。だからこそ、大きな事故もなく長年続けてこられたのではないでしょうか」 さらに、小木曽氏は、最近ネット上に増えている「お気持ちヤクザ」についても言及。「今回の騒動とはちょっと異なりますが、最近は『自分が不快だから』とか『私が傷つくから』という理由だけで、気に食わないポスターや広告などの『表現』を撤回させようとする人たち、いわゆる『お気持ちヤクザ』が増えています。その表現が『嫌いだと主張する』のと、『存在することを認めない』のは全く別。前者は表現の自由だし、後者はその否定ですから。情報リテラシーを理解している人から見れば、彼らの主張は『表現の自由』の全否定で、自らの首を絞める行為でしかありません」と苦言を呈する。一方、そういった人たちからの言いがかりを避けるためにも、「企業のアカウントなら『政治』『外交』『宗教』『下ネタ』の投稿は避けた方が無難でしょうね」という。 もし企業が「公式アカウントは作りたいが、一切のリスク、批判は避けたい」というスタンスであれば、「そもそもアカウントを作らない方がいい」と小木曽氏はピシャリと指摘。ネット時代を迎え、日本の企業は“批判されること”を極端に恐れ、批判回避を最重視する傾向が、以前にも増して強くなったそうだ。しかし、それでは、「多くの人に突き刺さる情報発信はできないし、ファンになってもらうことも難しいでしょうね」という。 「絶大な人気を誇る『シャープさん』だって、今回のように、一部から『不快』『嫌い』と言われるのです。情報発信には必ずレスポンスがあり、その中には批判や雑音も存在します。これは避けられない。その事実を認め、それを前提にどう備えるのか、どんな社内体制を整備するのか、そういった議論ができる企業こそが、今後SNSの時代で強みを発揮できるのだと思います」 批判があるのは「大前提」と腹を据えることが大事だと、小木曽氏は言う。「シャープさん」は、さまざまな批判をどう受け止め、また対応しているのか、ぜひ聞いてみたいところだ。 小木曽健(おぎそ・けん) IT企業でCSR部門の責任者を務める傍ら、書籍執筆や連載、メディア出演などを通じて、情報リテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。著書に『ネットで勝つ情報リテラシー』(筑摩書房)、『11歳からの正しく怖がるインターネット: 大人もネットで失敗しなくなる本』(晶文社)など。 前のページ123 最終更新:2019/11/29 17:41 Yahoo ネットで勝つ情報リテラシー あの人はなぜ騙されないのか ちくま新書1437/小木曽健(著者) マクドナルドの“中の人”の気持ちを想像するとしびれる 関連記事 木下優樹菜、“タピオカ騒動”の対応はミスだらけ!? “謝罪の専門家”が「全然だめ」と一刀両断!吉本興業、地に落ちたイメージは回復できる? リスク管理の専門家が「すべきこと」を解説木下優樹菜の愛娘の全裸写真掲載から考える、リテラシーがない人への対策小保方晴子、見た目激変の“復活劇”――不祥事対応の専門家が「名前を改めても」とダメ出し!「痴漢は社会的地位のある人が多い」加害者臨床の専門家と弁護士が語る、性犯罪者の実態 次の記事 『スター・ウォーズ』台本が流出の危機? >