インタビュー

シャープ公式Twitter、一般人との絡みに「気持ち悪い」の苦言も――専門家に問う「炎上リスク」

2019/11/29 17:30
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

「シャープさん」が着ぐるみを脱ぎかけているように見えた?

 では、そんな「シャープさん」が、特定の女性ユーザーと懇意にやりとりをしていることに対し、苦言が出ている今回の騒動についてはどうだろう。企業公式アカウントとしては、炎上を招きかねない行為のようにも思うが……。

「そもそもこんなネタが話題になるのは、『シャープさん』が人気者で、好かれているからでしょう。『シャープさん』と女性ユーザーとのやりとり内容は、違法性も反社会性もなく、Twitterの利用規約にも違反していない、つまり“炎上の文脈”がないんです。相手の女性ユーザーは、時にセクシャラスなツイートも投稿するので、そんなアカウントに絡む『シャープさん』を不快に感じる人がいてもおかしくはないのですが、でも、それは単に『好き嫌い』の問題です。『企業公式アカウントとして、羽目を外しすぎている』と不快に思う向きもあるかもしれませんが、もともと『羽目を外したアカウント』で人気を得たわけですし、なにより『好き嫌い』は『良し悪し』ではありません。この件は『嫌なら見なければ良い』というたぐいの話でしょう。今後もし、この話題が拡大しても、大して炎上しないと思います」

 企業公式アカウントが、一般ユーザーと絡むことが珍しい中、「シャープさん」はそれを積極的に行っており、「中には『自分も絡んでほしい』と思っている人もいるのでは」と、小木曽氏。ある種、アイドル的存在となった「シャープさん」だけに、特定のユーザーと絡むことに批判が出るのは、「アイドルが恋愛したら怒るファンの気持ちに通ずるように思う」そうだ。

「『シャープさん』は、人間ではないけど人格はあるという『ゆるキャラ』に近い存在なのではないか。もともと『シャープさん』は、中性的で落ち着いており、安心感を与えるキャラクターです。そんなアカウントが、きわどい投稿もする特定ユーザーと絡む姿は、ファンにとって『着ぐるみを脱ぎかけている』ように映るのかもしれません」

 “中の人”の個性が見えるのが面白い、けれど見えすぎるのも嫌――ということかもしれないが、何をもって「見えすぎ」とするかは、人それぞれの感覚なのだろう。


ネットで勝つ情報リテラシー あの人はなぜ騙されないのか ちくま新書1437/小木曽健(著者)