早坂信哉氏インタビュー

サウナブームに専門医が警鐘! 「整う」より正しい入浴法の基礎とは!?  

2019/11/20 21:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 リラックス効果やデトックス効果が期待できるといわれるサウナ。昨今、そんなサウナを舞台にした漫画やテレビドラマが登場し、情報番組などでも特集を組まれるなど、空前の“サウナブーム”になっている。サウナ愛好者を「サウナー」と呼び、そうしたサウナ―が使う「整う」といった言葉がネット上で散見されることも。しかし一方で、サウナの利用が原因となった死亡事故なども報告されており、その危険性も見逃せない。そこで今回、『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)など、お風呂・温泉と健康にまつわる著書を執筆している温泉療法専門医・早坂信哉氏に、サウナによる健康効果と危険性についてうかがった。

サウナには「デトックス効果」も「ダイエット効果」もない

――サウナに入浴することによって、大量の汗が流れ出ます。それが「デトックス効果」につながるといわれていますが、それは本当なのでしょうか。

早坂信哉氏(以下、早坂) 体の中に溜まった「悪いもの」、つまり老廃物や有害物質を排出するという意味での「デトックス効果」は期待できません。研究でも報告されていますが、サウナ入浴で出た汗には、ほとんど老廃物や有害物質は含まれておらず、これらのほとんどが、糞便や尿によって排泄されることが明らかになっています。ただ、温熱効果で血流の巡りは確かに良くなるので、肝臓や腎臓に血液が送られることにより、排せつ器官の運動が活発になり、老廃物などが体の外に出やすくなるということはあります。血流の改善が本来のサウナのデトックス作用と言えるので、発汗は排せつではなく、体温が十分に上がったというサインとお考えください。

――サウナ入浴後、体重が減っていることがありますが、ダイエット効果があると期待していいのでしょうか。

早坂 サウナによって出た大量の汗は、上がった分の体温を下げる“体温調節”のための汗です。体重が減っているのは、体内の水分が出ているだけなので、ダイエット効果は期待できません。だいたい、80度ぐらいのサウナに10分ほど入浴すると、500ミリリットルぐらいの汗をかくと言われているので、それぐらい体重が減ることもありますが、ただの脱水。なので、水分補給をすれば、すぐに戻ってしまいます。熱を与えられることによって、多少なりとも代謝は上がるものの、運動のように脂肪燃焼をしているわけではないのです。また、500ミリリットルほど体内の水分が出てしまうと言いましたが、それにより熱中症にかかってしまう可能性もあるので、水分補給をしてほしいですね。


――どれぐらいの水分補給が必要なのか、目安を教えてください。

早坂 入浴前にコップ1~2杯を飲んでください。また、500ミリリットルぐらい汗をかくので、入浴後にも1~2杯の水分を摂ってほしいですね。水でも十分ですが、ミネラルが入ったむぎ茶、スポーツ飲料やイオン飲料の方が吸収もいいですし、より適しているかもしれません。入浴後に水分補給を怠ると、血液の流れが悪くなり熱中症になる可能性もありますし、血液の粘り気が出て血の塊(血栓)ができやすくなります。血管が詰まると、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしかねません。

――また、飲酒後にサウナで大量に汗をかくことで、アルコールが早く抜けるといったことを聞いたことがあるのですが。

早坂 アルコールが抜けるといった効果もありませんね。飲酒をすると血圧が下がったり、眠くなりますが、そのような体調でサウナに入浴すると、気を失ってしまう場合や寝てしまうケースがあり、熱中症になることもあります。飲酒後のサウナ入浴は危険なのでやめましょう。また、アルコールを代謝するためには、たくさんの水分を必要としますが、サウナに入浴することで、その分の水分まで失われてしまい、結果的にアルコールの代謝が逆に遅れてしまう可能性が高くなります。二日酔いの時にサウナでスッキリしたいという方もいるようですが、同様の理由からオススメできません。


最高の入浴法/早坂信哉