オンナ万引きGメン日誌

板野友美似の美少女万引き犯に、店長デレデレで「警察呼ばなくていい」――保安員が見た顛末

2019/08/10 16:00
澄江

お客さんが振り返るほど可愛いあの子は、高級果実を手にした

(あれ? あの子、どこかで見たことあるような……。もしかして、芸能人かしら?)

 疲労もピークに達した業務終了間際。ディズニーランドの大きな袋を肩にかけて店内に入ってきた髪の長い女の子が、私の目に止まりました。どこか輝いているように見えたからです。そのあまりの可愛さに、少しの間見惚れていると、彼女は桃やいちご、シャインマスカットなど、いくつかの高級果実を手にし、お菓子売場の方に向かって歩いていきます。すれ違うお客さんも振り返るほどの可愛さで、大学生くらいの男の子二人組などは、元AKB48の板野友美さんではないかとうわさし、何度も振り返って確認してしまう始末です。

(確かに似ているけど、本物は、もっと小さくて細いはずよね)

 そんなことを思いつつ、何気なく彼女の姿を目で追いながら業務終了の時を待っていると、彼女が手にしていたはずの高級果実が、いつの間にか消えていることに気づきました。商品の行方が気になって、チョコレートを物色する彼女に近づいてみれば、先ほどまで手にしていたはずのいちごやシャインマスカットが、ビニール袋に描かれたミニーちゃん越しに透けて見えます。

(チョコレートも、きっとやる)


 そう確信してまもなく、比較的高価な箱入りチョコレートを次々と袋の中に隠した彼女は、なに一つ買うことなく店の外に出ていきました。ただ盗みに来たという状況だけに鑑みれば、先に捕らえたホームレスのおじさんと、彼女のやっていることに違いはありません。時計を見れば、業務終了2分前。ここで声をかけてしまえば残業必至の状況ですが、プロとして見送るわけにもいかないので、邪念を捨てて声をかけます。

「あの、お客さ………」
「キャー! ナニ、アナタ、ヤメテ! STOP!」

 声をかけると同時に振り返って悲鳴をあげた彼女は、外国人のイントネーションによる日本語で叫ぶと、私の前に両手を広げて突き出しました。

「あら、あなた。外国の人なの? フルーツとチョコレートのマネー、ちゃんと払わないと。わかる?」
「ゴメンナサーイ、オカネナカッタ」

 商品を隠した袋を指差しながら、知っている英単語を並べて問いかけると、アヒル口を尖らせて犯行を認めた彼女は、素直に事務所までついてきてくれました。ある程度の日本語はしゃべれるようで、21歳の大学生だと話した彼女は、東京ディズニーランドで遊ぶことを目的にマレーシアから来たと話しています。被害は、計9点で、合計4,500円ほど。盗んだ理由を聞けば、ディズニーランドでお金を使いすぎてしまい、チョコレートはお土産にするつもりだったそうです。


「このフルーツは、どうするつもりで?」
「コレハ、タベタカッタ。ゴメンナサイ、ヘヤデ、カレシマッテル。ハヤクオネガイシマス」

万引き防止対策に関する調査と社会的実践